令和5年

令和5年第2回定例会【環境農政常任委員会】(環境基本計画の改定骨子案)

会議日:令和5年6月29日【 環境農政常任委員会 】答弁要旨

環境基本計画の改定骨子案

大村悠

次に、神奈川県環境基本計画の改定骨子案について伺います。

まず、環境基本計画の位置づけと役割、そして計画改定に当たっての基本的な考え方について確認したいと思います。

環境課長

まず、本計画の位置づけですが、神奈川県環境基本条例に基づき、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定めた基本的な計画であり、総合計画における環境分野の軸となる個別計画です。
また、環境政策の基本的な方向性を定める役割を担っております。
環境関係の諸計画は、本計画と整合を図りながら施策を進めていくことになります。
現在の計画の策定以降、地球温暖化の進行ですとか生物多様性の損失等が進行するとともに、2050年の脱炭素社会の実現や持続可能な開発目標であるSDGsの達成をはじめ、新たな視点により取り組むべき課題も生じております。
併せて、新型コロナウイルス感染症の影響による社会経済活動の在り方や生活様式の変化への対応といった課題も生じております。
改定に当たりましては、このような課題を視野に入れ、現行計画の進捗状況やそれに対する環境審議会による検証等を踏まえまして、計画の構成や施策等について全面的な見直しを行うものでございます。

大村悠

総合計画とも整合を図ってという話について、環境基本計画の改定作業のほうが先行していると思うのですが、どのように整合を保っているんでしょうか。

環境課長

現在、環境基本計画の改定はまだ骨子案の段階でございまして、今後、環境審議会での審議ですとか、県民意見募集、また、この議会での御議論などが控えております。こうした作業を通じまして骨子案を素案へ改定案へと進めていく中で、並行して新しい総合計画の策定作業を進め、例えば、取組の方向性や評価指標などについても両計画を合致させていくことを考えておりまして、おのずと両計画の整合性は図っていけるものと考えております。

大村悠

次に、計画の施策体系について、現行計画から見直しをして、四つの施策分野と横断的な取組の五つで構成するということなんですけれども、この見直しの考え方について伺いたいと思います。

環境課長

現行計画では、大柱である持続可能な社会の形成の下に、施策分野である地球温暖化への対応、資源循環の推進など、こういった大柱の下に位置づける形で分野を配置した体系としております。
しかしながら、近年の環境をめぐる諸問題の複雑・多様化、相互に関連した状況を踏まえまして、これまでのような大柱による分類をやめ、気候変動への対応、自然環境の保全、循環型社会の形成、大気環境・水環境の保全、環境リスクの低減といった四つの施策分野を前面に押し出した形の体系を設定しております。
また、これらを総合的な視点で捉え、施策を推進する必要があると考え、四つの施策分野とともに、横断的な取組としての視点を加える形で全体の施策体系を構成したいと考えております。
このように、県民の皆様方に分かりやすい計画とするとともに、施策分野相互間の関係ですとか、環境以外の分野と関連して横断的な取組、こういったものを考慮した計画にする予定でございます。

大村悠

施策分野間の相互関係、また、環境以外の分野との関係性についても考慮するということなんですが、これは具体的にどういったことなのか伺います。

環境課長

施策分野間の相互関係につきましては、例えば、気候変動対策として、太陽光発電施設、こういったものを設置した場合に、再生可能エネルギーの導入という点につながりますし、また、脱炭素に貢献する一方、例えば、森林を伐採して発電施設を設置した場合には、自然環境の悪化や生物多様性の損失を招くおそれがある。
また、耐用年数を過ぎた施設を廃棄するといった課題も生じる可能性がございます。
また、環境以外の分野との関連性につきましては、気候変動の取組が新たなビジネスチャンスや雇用の創出につながる可能性があるほか、新技術の開発や地域活性化といった経済や社会、こういったものにプラスの影響も考えられます。このように、プラスの影響とマイナスの影響、それぞれを考慮しながら施策を進めていく必要があると考えており、こういった視点もこの計画の中に示していきたいと考えております。

大村悠

この計画というのは、ビジョンを示したり方向性を示すということでは重要なことだと思うのでが、今答弁いただいたように、社会情勢が様々変動する中で、また政府の方針が変わったり、様々な状況が考えられる中で、計画を立てたからこれで終わりというわけではなく、引き続き情勢に対応しながら柔軟に対応していただくことを求めたいと思います。
次に、改定計画では施策分野ごとに指標を設定するということなんですが、指標の考え方について伺いたいと思います。

環境課長

現行の計画では、重点政策ごと、年度ごとに数値目標を設定し、その達成状況によって計画の進捗状況を把握してまいりました。一方で、環境施策の効果は短期間では上がりにくいものも多く、中長期的視点でその傾向を見極める必要がございます。
そこで、改定計画では、施策の効果を中長期的に表す指標について、2030年度の数値を参考に示し、計画期間中の数値ですとかその取組状況などから進捗状況を多角的かつ総合的に把握することが適切と考えております。
また、指標につきましては、一部検討中のものもございますが、個別計画との整合を図りながら、環境審議会や県議会の御意見などを踏まえながら、素案に向けて引き続き検討していきたいと考えております。

大村悠

環境基本計画ということで、今策定段階だと思うのですが、知事も答弁があったとおり、やはり、脱炭素というのは県民総ぐるみで取り組まなければ、決して達成できないことだと思っています。
そういった中で、県の考え、方向性としてこういった計画を立てていますが、県民とか県内事業者の皆さんにこの計画の趣旨、考え方、取組内容を理解してもらう、分かりやすく周知していくことも大事です。
今回、計画を出されていますが、事業者の皆様が、資料が届いて、全部見て理解できるかというと、なかなか難しいと思います。
理解促進が重要だと思いますが、その辺りは県としてどう考えているか伺いたいと思います。

環境課長

今委員御指摘のとおり、つくっただけでは、皆様方にこの計画の中身というのを御理解いただくというのは難しいと思いますので、例えば、いろいろな関係団体の会合の場に赴いてこの趣旨を御説明したり、あとは、いろいろなイベントがありますので、一般の方々にも、こういったものをつくったということをしっかりお伝えするということで、県がどういった方向を向いているかということをしっかり御理解いただけいるように、様々な機会を捉えてこれを発信していきたいと考えております。

大村悠

この内容については引き続き議論すると思いますが、どんなにいいものができても、その人に届かなければ意味がないと思いますので、計画ができたから大丈夫ということではなく、粘り強くこういった取組もしっかりやっていただくことを求めたいと思います。
最後に、今後計画改定に向けてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

環境課長

改定に当たりましては、地球温暖化対策計画等の個別計画と整合性を図りながら、また、この計画に記載しております取組を自分事化していくためには、あらゆる主体の方からの御意見が重要だと考えておりますので、環境審議会からの御意見、また、10月にはパブリック・コメントや市町村への意見照会も検討して、こういった方々からの御意見をしっかりいただきながら、課題解決に向けて、部局横断的な視点でも、県庁内にあります検討組織、環境基本計画推進部会、こうしたものを活用しながら、しっかりこの改定作業に取り組んでまいりたいと思っております。

大村悠

再三要望させてもらっていますけれども、この計画の実効性が高まるように、そして、策定された後にどういった行動をとれるのか、自分事化できるのかということを念頭に、これからも策定に向けて取り組むことを要望させていただきます。

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