令和6年

① 事業活動温暖化対策計画書制度の見直し【令和6年第1回定例会 常任委員会】

会議日:令和6年2月29日【 常任委員会 】答弁要旨
環境農政常任委員会

事業活動温暖化対策計画書制度の見直し

大村 悠

事業活動温暖化対策計画書制度の見直しについてお伺いします。

先ほど中小企業への支援ということで答弁もいただきましたけれども、そういった中で、この事業活動温暖化対策計画書制度とはどういった制度なのか、制度の目的や内容も改めてお伺いします。

事業者脱炭素担当課長

事業活動温暖化対策計画書制度は、事業者による自主的な温暖化対策の取組を促進することを目的とした制度でございます。

具体的には、神奈川県地球温暖化対策推進条例に基づき、一定規模以上の事業活動を行う特定大規模事業者を対象として、温室効果ガス排出量の削減目標や対策等を記載した計画書等の提出を義務づけ、その概要を県が公表する制度でございます。また、特定大規模事業者に該当しない中小規模事業者等につきましても、任意で計画書等を提出することができるとしております。

なお、横浜市と川崎市は、市の条例に基づき県と同等の計画書制度を運用していることから、県の計画書制度の適用を除外しております。現在、県の計画書等の提出義務がある特定大規模事業者は約530社でございます。また、任意で計画書を提出している中小規模事業者等は5社という形になってございます。

大村 悠

今の530社というのは、対象の企業数なのか、それとも、もう既に提出している企業数なのか、確認いたします。

事業者脱炭素担当課長

530社は対象の事業者数で、対象はもう義務でございますので、対象事業者につきましては全て出していただいているような状況でございます。

大村 悠

そういった中で中小企業は任意ということで、今確認いたしました。そういった中で横浜市と川崎市は独自でやっているということだったのですが、その各市の状況とかデータとかって共有しているものなんでしょうか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

具体の本県がどうというところは、正確にはちゃんとデータの共有はしていないところなんですけれども、基本的に同様の制度になるように、横浜、川崎市とは常に連携をさせていただいているところでございます。

大村 悠

ぜひともしっかりと連携、共有をしてください。横浜市、川崎市も、神奈川県ということで全体でオール神奈川で取り組むということにおいては同等のことをやっているということなんですが、神奈川県としてその状況はしっかりと把握するためにも、しっかりと連携を密に取ってやってもらいたいと思います。

次に、今回、計画書制度の見直しをするということなんですが、この見直しに至った経緯、現行制度にどのような課題があったのか、どのような見直しをするのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

現行の計画書制度には主に二つの課題があると考えております。一つ目は、目指すべき削減目標について県が望ましい数字を示していないことから、各事業者がそれぞれの判断で設定する削減目標と神奈川県地球温暖化対策計画における削減目標が整合しない場合があるんですね。二つ目は、各事業者の取組が十分なものか客観的に評価する仕組みがないことでございます。

こうした課題を解決するため計画書制度の見直しを行うこととし、一定の基準に基づき事業者の取組を評価した上で、その評価結果を公表する仕組みである評価制度を令和7年度から導入する方向で現在検討を行っております。

大村 悠

水準がなかったということで、そういった企業の皆さんの効果検証や、自分たちの会社の取組を見直すということについては、そういった課題を踏まえて、ということで今理解をしました。

そうした中で、事業者の取組を評価して公表する評価制度について、今答弁がありましたけれども、どのように評価をして公表していくのか、現在の検討状況についてお伺いします。

事業者脱炭素担当課長

評価制度の導入に向けた現在の検討状況について申し上げると、県の環境審議会に諮問をし、審議会において事業活動温暖化対策部会を設置して検討を行っているところであり、来月3月に審議会からの答申を予定しております。

検討の方向性としては、事業者が目指すべき削減目標等について、県が神奈川県地球温暖化対策計画と整合する客観的な基準を示した上で、その基準に基づき各事業者の取組を、例えばABCDなどの区分で評価し、その評価結果を県ホームページで公開する仕組み、こういったものとする方向で検討しているところでございます。

大村 悠

仕組みについては今確認させてもらいました。神奈川県全体で脱炭素化を進めていくためには、その事業者の皆さんの協力というものは欠かせないと考えております。

そうした中で、この計画書の制度は特定の530社程度の企業が義務化されているということで、中小は任意ということなんです。こういったことを全ての中小企業というとなかなか難しいかもしれないんですが、中小企業の皆様にも策定してもらう、考えてもらうということが重要だと考えています。

その評価制度を公表するということなんですが、現在、脱炭素化に向けた取組をしようと思っている、先ほど5割程度、脱炭素化の重要性を感じているものの、なかなかその事業活動に反映できていないという事業者が5割程度いるという中で、こういったものを公表してしまうと、考え方として評価が低いという公表のされ方をしてしまうということが懸念として感じてしまうと、なかなかそういったもの、ベースまでそこまでやらなくなっちゃうんじゃないかなという気もするんですが、そういったところってどのように考えているのかお伺いします。

事業者脱炭素担当課長

まず、評価結果の公表に当たりましては、その評価結果が適正なものになるように、事前に有識者から意見を聴取するとともに、事業者が意見を述べる機会を設けることを検討してございます。また、委員御指摘のように、低評価者の事業者の公表につきましては、例えば複数回連続で低評価となるまで公表しないなど一定の配慮をする方向で検討しております。

大村 悠

ぜひともそういったことを考えながら取り組んでもらいたいと思います。やはり脱炭素化ってなかなか難しい中で、そういった前向きに捉えようとしているという方々に寄り添った対応をしていただくことを要望したいと思います。

この評価結果を公表するだけではなくて、より高い評価が得られるように事業者の取組を支援していくことも重要だと考えていますけれども、県としてどのように対応するのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

事業者の取組を促進させるため、評価結果を公表するだけでなく、評価結果に応じた支援を行う方向で検討しております。

具体的に申し上げると、評価が高かった事業者に対しては県による表彰のほか、県ホームページや県主催の企業向けセミナー等での事例紹介などにより、積極的にPRを行うことで取組意欲の維持、向上を図りたいと考えております。また、評価が低かった事業者に対しては、事業所に直接訪問して、その事業者の取組状況を把握した上で、再エネ設備の導入や省エネ設備への更新など、その事業者に見合った取組を具体的に提案することで、より高い評価が得られるよう後押しをしたいと考えております。

このように評価結果に応じた支援を行うことで、事業者全体の取組のさらなる促進を図っていきたいと考えております。

大村 悠

本当に強力に進めていくということを今の答弁で理解をしたんですが、企業に実際訪問しているという答弁いただきました。・その訪問する人というのはどういった方になるのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

今、事業活動温暖化対策計画書制度の評価、計画書の内容の審査などにつきましては、県の職員と、あと会計年度任用職員が行っているところでございます。会計年度任用職員は、こういったものの知識が豊富な者になっておりますので、そういった者が訪問するのと、あと一部委託で事業訪問を民間で行っているところでございます。

大村 悠

実際訪問するというのは大変なことだと思うんですが、取組を推進していく上で、やはりそれが一番事業者にとってもいいことだと思います。

この計画書制度の見直しにつきましては、実際に計画書を提出する事業者の理解と協力が不可欠だと考えていますけれども、事業者への情報提供や意見聴取、どのようにしているのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

評価制度を導入して効果的に運用していくためには、事業者の皆様の御理解と御協力が不可欠と考えております。そこで昨年9月、実際に計画書を提出している事業者を対象としてオンライン説明会を開催して、現行制度の課題や評価制度を導入する目的、評価制度の具体的な内容などについて説明を行いました。この説明会には300を超える事業者に御参加いただき、質疑応答や事後に行ったアンケートでいただいた御意見につきましては、評価制度の制度設計に反映したいと考えております。また、事業活動温暖化対策部会における議論の状況を県ホームページに掲載するなど、随時情報提供を行っているところでございます。

大村 悠

300を超える事業者に参加してもらったということだったんですが、これはもう既に策定している企業ということで今答弁いただきまし。まだ策定していない事業者の声とかを聞く機会はあったんでしょうか。お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

今のオンライン説明会につきましては、先ほど申し上げた特定大規模事業者530社にお声がけをさせていただいたということでございます。議会にこれから提出する方々につきましては、今、県のほうで中小企業を支援するモデル事業を実施しておりまして、3社を対象として具体的にその計画をつくるに当たっての伴走支援を行って、いろんな課題抽出をさせていただいたところでございます。

大村 悠

分かりました。この評価制度の導入等につきましても、令和7年度からということで先ほど答弁いただきました。この条例改正を待つだけではなくて、来年度取り組むことも実際あると思うんですが、条例改正までどのような取組を進めていくのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

評価制度は条例化して周知期間等を考慮いたしまして、令和7年度からの導入を予定しているところでございます。一方で、脱炭素は待ったなしの課題であり、できることから速やかに実施する必要があることから、評価制度の導入に先行して二つの取組を実施したいと考えております。

一つ目は、各事業者の取組をグラフや表などを用いて分かりやすく見える化するため、県ホームページにおいて、かながわ脱炭素レポートという特設サイトを今年度中に開設したいと考えております。二つ目は、中小企業による事業活動温暖化対策計画書制度の作成を促すため、2050年脱炭素化を宣言して計画書を策定した中小企業に対してインセンティブを付与する、(仮称)かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度を令和6年度から開始したいと考えております。こうした取組により、評価制度の導入を待つことなく、事業者の脱炭素化を促進してまいります。

大村 悠

今、2個の取組について御答弁いただきました。ホームページで脱炭素レポートを推進するということだったんですが、スタートが大事だと思いますので、その開設の際にはしっかりとしたプロモーションというか広報に取り組んでもらいたいと思います。

2個目の認証制度、インセンティブという話だったんですが、金融機関などともしっかりと連携をする中で、こういった様々なツールを使って周知に向けて取り組んでいただくことを要望したいと思います。

最後に、計画書制度の見直しのためには、条例や規則改正などの手続が必要となりますが、今後どのようなスケジュールで進めていくのか、お伺いします。

事業者脱炭素担当課長

計画書制度の見直しにつきましては、現在、県の環境審議会で検討を行っているところであり、3月中に知事への答申が行われる予定となっております。これを受けて第2回定例会の当準備委員会に条例改正の素案を報告した上で、第3回定例会で条例改正案を提案する予定です。その後、パブリック・コメントを実施した上で規則改正を行い、令和7年度から新たに制度をスタートさせたいと考えております。

スケジュールについても確認させてもらいました。まだまだ改正案に向けても残っていますので、事業者の声もしっかりと聞いた上で、今後の制度設計についてしっかりと取り組んでいただくことを要望して、この質問を終わります。

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