会議日:令和6年3月18日【 常任委員会 】答弁要旨
環境農政常任委員会
神奈川県環境基本計画

神奈川県環境基本計画についてお伺いします。この計画については、当時、常任委員会で審議、環境審議会や県民等からの意見を踏まえて改定作業をしてきたということは承知をしています。
今回、変更についての議案が提出されましたので改めて何点かお伺いします。
まず、計画の最終的な形である改定案について、素案からの変更点がどういったものがあるのか、お伺いします。

昨今、個人の環境への意識の高まりや機構整備の重要性が指摘されております。機構整備とは経済先進国による環境負荷の影響が開発途上国や経済弱者に対して深刻に及んでいる現状を是正しようという国際的な動きでございます。こういった動きをよりよい機会と捉え、ライフスタイル等を変えていく必要があることを計画に追加しております。
また、有害性が指摘されております有機フッ素化合物(PFAS)につきましても、県民の皆様方の関心が高まっていることから、モニタリングの実施や情報収集、不安に応えるための情報発信を行うなどといった具体的な取組について追加をしております。

次に、県民意見や市町村意見にはどういったものがあったのかということと、環境審議会での審議でどういった御意見が出たのか、併せてお伺いします。

まず、県民意見や市町村からの意見でございますけれども、県民の方々、また県内市町村から合計78件の御意見をいただいております。機構整備やPFASについて触れるべきといった御意見のほか、特定外来生物に係る取組につきまして、県の主体性がよく分かる伝わる表現にしてほしいなどといった御意見につきましては、改定案に反映しております。
一方で、気候変動への対応に係る指標につきましては、2030年の数値を2013年度比で50%削減ではなく60%削減にしてほしいなどといった御意見につきましては、個別計画との整合性を図るため反映できなかった御意見もあります。また、環境基本計画を各個別計画と一本化してもよいのではないか、また、計画の進捗状況を示すに当たり、どのような形で総合的に評価していくのかといったこういった課題につきましては、今後の参考とさせていただきます。
続きまして、環境審議会からの御意見としましては、全体としては妥当なものといった御意見をいただいておりますが、改定に際して特に重要と思われる事項について御意見をいただいています。具体的には、個別計画との整合を図りながら統合的な課題解決を目指す姿勢が重要であることから、施策分野ごとに施策の推進に当たって県に求めることについて言及がございました。
さらに、計画推進に当たっては適切に進行管理を行うことや、環境分野だけではなく社会、経済などあらゆる分野の動きを注視して、必要な場合には計画の最終年度を待つことなく改定を行うことを求めるといった、こういった御意見もいただいております。

その中で、計画の進行管理についての御意見もあったとのことなんですが、計画が着実に推進していくためには、環境問題、取組をして、すぐに結果が出るのも難しいことからも、進行管理ということが重要だと考えております。そうした中で、現行計画ではどのように進行管理をしてきたのか、お伺いします。

まず、現行計画につきましては、地球温暖化への対応や資源循環推進といった中柱の施策ごとに設定した重点施策、一例としましては産業廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用の促進などの進捗状況により進行管理を行ってまいりました。重点施策につきましては、年度ごとに目標値を設置し、その達成状況を踏まえまして庁内の部局横断的な会議で進捗について自己評価を行った上で環境審議会に検証をお願いする、こういった進行管理を行ってまいりました。

改定後の計画では、どういった進行管理をしているのか、お伺いします。

これまでの重点施策の数値による把握に代わりまして、施策分野ごとに施策の効果を象徴的に示す指標を設定し、進行管理に活用してまいります。環境施策の効果は短期間では上がりにくいものが多いことから、指標につきましては計画期間の最終年度であります2030年の数値のみを設定してまいります。年度ごとの数値目標は設定せず、2030年に向けてどの程度進捗しているかといった観点で各分野の進行管理を行いたいと考えております。
また、各分野の状況は、指標の数値だけではなく、個別計画に基づく各施策の実施状況を踏まえまして総合的に把握していきたいと考えております。

考え方については、今御説明いただきました。各年度の数値目標を設けないということなんですが、進行管理や検証は重要だと思いますけれども、毎年度の数字というものは出される認識でよろしいんでしょうか。

最終年度2030年の数値目標は置きませんで、おおむね大体何割程度進捗しているかと、そういった進捗状況につきましてはお示しする予定でございます。

技術の進歩や、様々な社会が変動している中で、最終年度の目標設定ということで理解しましたが、そちらの進行管理についてはしっかりと取り組んでいただくことを要望します。
次に、計画策定後は県民や事業者への周知とともに、子供たちの環境問題に対する理解や関心を深める環境教育、環境学習が極めて重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

県の環境保全協議会や県産業資源循環協会等の関係団体を通じましての周知ですとか、ホームページ、SNSなどを活用して、あらゆる機会を捉えまして環境基本計画の取組を広く伝えていきたいと考えております。
また、環境教育につきましては、講師の方を学校に派遣して事業を行います、かながわ環境教室や、職員による環境出前講座などを通じまして、子供たちだけではなく、あらゆる世代の方々に対して働きかけを行っていきたいと考えております。

様々なターゲットに向けて、この環境問題についての周知だとか啓発活動に取り組んでいただきたいと思います。
最後になりますが、本計画の推進に当たっては、統合的な進行管理、県自らの取組に向けた庁内の連携で、県民や事業者、市町村など様々な主体との連携が重要と考えますけれども、どのような姿勢で取り組んでいくのか、環境部長にお伺いします。

県には、自らが率先して行動し、環境問題の解決に貢献する姿勢を示し、事業者や市町村等に取組を広げることが求められていると思います。そのため率先事項の取組を進めるとともに、職員自身が自分事化し実践的な行動に移せるよう、その基礎となる環境法令を理解、遵守できるような体制を整えます。
また、部局横断的な会議体である環境基本計画推進会議にて庁内の連携を働きかけております。そのほかの主体との連携につきましては、各施策分野における普及啓発事業及び環境学習、環境教育の事業を通じて自分事化していただけるよう取り組むとともに、既に連携している事業につきましては、より一層の充実強化を図ってまいります。

この環境基本計画につきましては、これまの委員会でも様々な議論をさせてもらいました。そうした中で実効性のある計画とするためにも適切な進行管理、また理解促進など、自分事化してもらうことが重要だと考えております。着実に計画を推進するためには、環境をめぐる様々な変化に柔軟に対応しながら、気候変動などの喫緊の課題に取り組むことを要望して、この質問を終わります。