会議日:令和6年6月28日【定例会 】答弁要旨
厚生常任委員会
「災害時の医療救護体制」
まず、健康医療局関係の令和6年度6月補正予算案についてお伺いします。
健康医療局関係として、一般会計で約13億8,000万円を計上されていますが、その中でもまず災害時医療救護体制整備費についてです。
衛生通信システムの整備や派遣用医療機器等の整備に対する補助とのことですが、この予算の内容について詳しくお伺いします。
この予算は、大きく分けて二つの事業から構成されております。
一つは、大規模災害時の災害医療を円滑に行うため、スターリンクと呼ばれる通信衛星を用いたデータ通信設備を整備するもので、本庁庁舎と各保健福祉事務所の10か所に20台配置する予定でありまして、4,117万円を計上しております。
もう一つは、災害発生時や新興感染症蔓延時に、災害・感染症医療業務従事者、これを派遣する医療機関に対し、災害対応の被服や応急用医療資機材、また発電機等の設備整備に対して補助するものでございまして、1,681万円を計上しております。
この予算につきましては、2つ、今、ご説明いただきました。
そのうちの一つ目の大規模災害時の衛星システム、スターリンクを整備するということですが、これを整備することによってどのような効果、メリットを見込んでいるのか。また、災害時には具体的にどのような業務をするのか、お伺いします。
災害発生時は、EMISと呼ばれる災害用の医療情報システム等を利用することにより、医療機関の被災状況や支援要請を迅速に把握いたしまして、要人材や物資を必要な場所に速やかに配分していく必要がございます。
しかし、通常の通信サービスが使用不可能となった場合には、情報システム等を利用することができず、被災状況や受入れ可能な患者数、別の病院へ転院が必要な患者数等の把握が十分にできません。そこで、今回この新たな衛星データ通信設備を整備することで、EMISという医療情報システム等から情報収集を行いまして、円滑な医療支援を行うことが可能となります。
県の保健医療調整本部等には、この医療情報システム等から得た情報を基に、DMATをはじめとする支援チームの必要数の把握や派遣先の決定など、災害時における保健医療活動の総合調整を行います。
今年の能登半島地震でも情報の分断などの課題が出ている中で、こういった整備も進めていると思います。
こういった設備は導入をされても、有効活用をされなければ、その効果というのは見込めないと思いますので、今のうちから関係機関の調整や、体制整備についてはしっかりと検討してもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、派遣用の医療機器整備に対する補助についてです。
これは、全ての医療機関が対象になるのか、お伺いいたします。
この補助金は、本年4月の医療法改正に伴って、創設された補助金でございまして、DMAT、DPAT先遣隊、災害支援ナースを派遣する医療機関が行う派遣用医療器等の整備に対する補助金でございます。そのため、対象はこのDMATやDPAT先遣隊、または災害支援ナースを有して災害・感染症医療業務従事者派遣に関する県との協定を締結する医療機関となります。
対象となる医療機関というのは、県内どのぐらいあるのか、また今回どのぐらいの数の補助を見込んでの積算なのか、お伺いします。
県と派遣協定を締結している医療機関は、現時点で60の医療機関となっておりまして、県全体の病院数が337、昨年4月末現在ですけれども、なっているので、約17.8%ということでございます。
予算規模としては、先ほど申し上げた1,600万円程度でございますけれども、これから国の内示等もございますので、規模感については最終的には今後の調整ということになるかと思います。
次に、感染症対策費について、この予算の具体的な事業内容についてお伺いします。
今回、補正予算として上程しております感染症対策費は、個室病床等整備費補助と個人防護具備蓄施設整備費補助の二つの事業について計上させていただいています。
この補助は、新興感染症の発生・蔓延時に医療を提供いただく協定を締結した医療機関、薬局、訪問看護事業所に対し、感染症への対応力を強化することを目的として、個室病床等の整備や個人防護具の備蓄に係る施設整備を行う場合に補助を行うものとなっております。
個室病床等整備補助では、病床確保に係る協定を締結した医療機関が行います新興感染症発生・蔓延時に感染症患者を受け入れるための個室化に伴う可動式パーティションの設置とか、病棟の増員を行うための病棟入り口の扉等の整備に対して補助いたします。
また、個人防護具備蓄施設整備費補助でございますけれども、こちらのほうは病床確保や発熱外来、自宅療養者等への医療に係る協定を締結しました医療機関、薬局、訪問看護事業所が行う個人防護具を保管しておくための保管庫の設置やスペース確保のための建物改修等に対し、補助を実施します。
個室病棟、病床ということで、ご答弁がありましたが、今回の予算額として、どのぐらいの数の病床数を見込んでいるのか、お伺いします。
今回、医療機関から活用意向調査というのを実施しまして、これをベースにしておりまして、個室につきましては、66室を対象としております。
これも国の動きの中での対応だと思いますが、コロナの課題を踏まえて対応していく中で、病院などの理解や協力をもらいながらしっかりと進めていただくことを要望したいと思います。
この補助を実施することによって、どのような効果を見込んでいるのか、お伺いします。
新型コロナ対応時には、感染者の増により、感染症患者の専用病床を有する感染症指定医療機関だけでは新型コロナの入院患者を受け入れられず、一般の病院が通常医療を制限した上で、病床確保をする必要が生じました。また、特に新型コロナの発生初期段階には、医療用マスク等の個人防護具の不足が顕在化しました。
今回の補助を実施することで、新興感染症の発生・蔓延時においても、通常医療との両立を図りながらの患者受入れが可能な病床の確保とか、院内の感染防止拡大、また必要とする個人防護具の備蓄が促進されることによりまして、協定を締結している医療機関等の感染症への対応力の強化というのが期待されるものでございます。
今回計上した予算が、しっかりと有効的に活用されることを求めておきます。
それでは、要望を申し上げます。
災害時医療救護体制整備費については、地震や台風などの災害はいつ発生するか分からないため、今回の衛生データ通信システムは、予算成立後、できるだけ早く整備していただくとともに、せっかくすばらしい機械や設備があっても、職員、実際に使う方々がきちんと使いこなせなければ意味がなくなってしまいますので、操作面についてもしっかりと取り組むことを要望します。
また、感染症対策費については、平時から体制整備を進めることは大変重要だと考えております。
有事の際には、着実に対応することができるよう、引き続きしっかりと感染症対策に取り組むことを要望します。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠