会議日:令和6年7月1日【定例会 】答弁要旨
産業振興特別委員会
「事業承継支援」
次の質問は、事業承継支援についてお伺いします。
企業全体の99%を占め、地域において大きな役割を担っている中小企業が、事業承継により経営資源を次世代に引き継いでいくことは重要なことだと考えています。
また、2025年問題等、後継者不足の課題を抱えている中で、事業承継に対する支援策についてお伺いします。
まず、県において、第三者への事業承継を促進するため、事業承継補助金制度を実施しているとお聞きしていますが、その内容について確認します。
この補助金は、雇用や多様な技術、技能の担い手として地域の経済社会において重要な役割を果たしている中小企業の第三者への事業承継を促進することにより、経営資源や雇用の創出を図り、地域の活力を維持することを目的として令和2年度から実施しています。
補助の対象となるのは、事業を譲り受ける側の企業が引き続き県内で従業員を雇用する経費と、事業を譲り渡す側の企業及び事業を譲り受ける側の企業が、企業価値の算定、仲介、契約書の作成等のために専門家を利用する場合に要する経費などで、補助率は中小企業が2分の1、小規模事業者が3分の1以内で、補助上限額は100万円です。
今回の委員会資料で実施状況について報告がありますが、当初予算額が5,000万円、申請金額が700万円強ということで、申請件数8件という報告が出ています。
これまでの予算額と申請状況の推移について、把握していたらお伺いいたします。
まず、これまでの予算額の推移でございますが、令和2年度から令和4年度までが、各1,000万円を当初予算額として計上しております。
令和5年度と令和6年度は、当初予算額としてそれぞれ5,000万円を計上しております。
また、申請件数の推移でございますが、令和2年度、3年度が各4件、令和4年度が19件、令和5年度が44件と右肩上がりに伸びています。
数字が伸びているということで今確認をさせてもらいましたが、実際に申請が来ている事業者の従業員数など、規模の傾向を把握していますか。
令和5年度に申請のあった44件の事業者の従業員規模を見ますと、全体としては、従業員5人以下の割合が約5割、従業員6人以上20人以下の割合が約3割で、従業員規模の小さな企業に多く利用されている傾向が見られました。
また、事業を譲り受ける側の企業と事業を譲り渡す側の企業とで比較すると、従業員21人以上の割合が、譲り受ける側の企業では約3割であるのに対し、譲り渡す側の企業では約1割と、譲り受ける側の企業のほうが従業員規模が大きいという傾向も見られました。
状況について確認をさせてもらいました。
次に、県には事業承継に関わる相談窓口として神奈川産業振興センターKIPに神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターを設置していると承知していますが、具体の支援内容と相談件数の推移についてもお伺いしたいと思います。
引継ぎ支援センターでは、親族への承継をはじめ、第三者への引継ぎであるM&Aまで、事業承継に関するあらゆる相談にワンストップで対応しています。親族への承継では、事業承継の時期、課題項目、具体的な対策を盛り込んだ中長期的の経営計画である事業承継計画の策定を支援しています。
また、第三者への引継ぎでは、譲渡の進め方のアドバイスや譲渡先の紹介、民間M&A仲介会社への譲渡しなどにより、事業を譲り渡す企業と譲り受ける企業とのマッチングや譲渡契約成約までを支援しています。
過去3年間の相談件数は、令和3年度が388件、令和4年度が491件、令和5年度が630件と、こちらも右肩上がりで推移しており、令和5年度の相談件数は過去最多となっています。
相談件数が過去最高に上っているということなんですが、相談内容の傾向とか割合などは把握していますでしょうか。
大変申し訳ありません。即答できる資料が手元にございません。申し訳ありません。
把握していないとのことですが、県の支援メニューとして設けていることから、事業者がどういった悩みが多いのかとか、相談したいのかということをしっかり把握してもらいたいと思います。
事業承継につきましては、県としては、雇用を守っていく、また地域経済の活力を支えていくといったことが目的だと思うんですが、事業承継の重要性は理解しているものの、そもそも制度が分からないからその制度について知りたいだとか、事業承継の書類作成がなかなか大変という声も聞いています。
そういった提出をする際の相談をしたいのか、そういった事業者の課題によって、県としてもやるべきことが変わってくると思いますので、そこは、しっかりとKIPと連携して把握してもらいたいと思います。
次に、国のほうの話になりますが、事業承継のハードルとなる贈与税や相続税に関して、一定の要件の下で税制優遇が受けられる事業承継税制があると承知をしていますけれども、その対応についてもお伺いしたいと思います。
事業承継を行う際、事業を引き継ぐ承継者が贈与や相続により株式や事業用資産を取得した場合、多額の贈与税や相続税の納税義務が生じる場合があり、そのことが事業承継を円滑に進める上での課題なっていました。そこで、事業承継に伴う税負担を軽減するために措置された制度が事業承継税制と言われるものです。
この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする法人版事業承継税制と個人の事業用資産を対象とする個人版事業承継税制の2種類があり、利用のほとんどは法人版事業承継税制となっています。
事業承継税制の適用を受けるためには、経営承継円滑化法に基づき都道府県知事の認定を受ける必要があります。
なお、法人版事業承継税制については、平成30年度の税制改正により、納税猶予の割合の引上げ等の特例措置が創設されています。
今、特例措置ということで答弁いただきましたが、この特例措置の期限についてお伺いします。
法人版事業承継税制で申し上げますと、特例措置の期限は令和9年12月31日までとなっており、それまでに後継者や承継時までの経営見通しなどを記載した特例承継計画を事前に都道府県知事に提出し、知事の確認後、贈与、相続等が行われたものが特例措置の対象となります。
事業承継を促進するために、県、そして国の動きについて確認をさせてもらいましたけれども、私の地元でも、産業団地を中心に多くの中小企業の皆様がいらっしゃる中で、こういったチラシを持って回っていると、事業承継について前向きな方もいらっしゃれば、なかなか実際としては難しい、抵抗を感じている方もいらっしゃるという状況も感じているんですが、そういった状況を県としてどう認識しているのか、分析していますか。
民間の調査会社が昨年の11月に発表した資料によると、県内企業の後継者不在率は63.6%と高く、全国でも6番目の水準となっていること、また、県内の中小企業社数が約18万社であることからも、委員御指摘のとおり、事業承継について、支援のニーズはまだまだ拾い切れていないと感じています。
また、日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち60%超が将来的な廃業を予定しているというデータもあり、事業承継の推進は喫緊の課題であると考えています。
県としても、危機感、事業承継についての重要性は認識しているということで確認させてもらい、また先ほど、相談内容や状況について確認させてもらいました。
事業承継の取組を推進していくために、今後、支援策の周知等にどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
中小企業にとって、まさに喫緊の課題である事業承継の取組につきまして、るる御質問いただいたところです。
委員からも御指摘がありましたけれども、来年、2025年は、団塊の世代が後期高齢者、75歳以上になる、いわゆる2025年問題が現実となります。年金や医療、介護など社会保障面の課題もありますけれども、企業経営面におきましても、経営者の高齢化であるとか後継者不在といった中、円滑に事業を承継していくということは、まさに中小企業にとって待ったなしの課題だと思っております。
事業承継をする際には、法務や税務、会計など様々な知識が必要となりますので、まずは、専門家への早めの相談が必要になります。そのため、相談窓口や様々な制度、支援策などの情報をしっかり届けていくことが大変重要だと考えております。
そこで、中小企業に情報がいち早く伝わる身近な支援機関である地域の金融機関であるとか、商工会、商工会議所、さらにはKIP、あるいは税理士会、弁護士会など、様々な関係機関と緊密に連携を取りながら、様々な機会を捉えて広報、周知に努めてまいりたいと考えております。必要な情報が情報を必要としている企業経営者に早めに、そして正確に届くように、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
ぜひとも、先ほど指摘させてもらいました相談内容をしっかり把握をして、この5,000万円という計上される予算が有効的に活用されるように進めていくことを要望したいと思います。
併せまして、実際企業を回ってみても、事業承継という言葉に抵抗を感じてしまって、ネガティブなイメージを持たれている方もいらっしゃいますので、そういったメリットとか有益性というものもしっかりと伝えながら、寄り添った支援をしていただくことを要望してこの質問を終わります。
先ほどのどういった相談内容が寄せられているかということですけれども、令和5年度630件の相談がございまして、その内訳といたしましては、親族内承継に関することが199件、譲渡しの希望が276件、譲受けに関する希望が121件、あとは後継者バンクに関する相談が27件、そのほか7件、そういった内訳になっています。
それぞれどういった目的で相談するかということをしっかりと把握して対応していくことが重要と考えます。
こういった相談に来る方は、前向きに捉えている方々だと思いますので、まだそういった考えに至っていない方とか、もしかしたら有効的に活用できる事業者もいらっしゃると思いますので、そういった事業者にも目を向けて進めていくことを要望して質問を終わります。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠