会議日:令和6年9月20日【本会議 一般質問】答弁要旨
「水産業のスマート化について」

定置網漁業は、本県の沿岸漁業で最も漁獲量が多く、また、新規就業者も多い経営体であることから、スマート化の取組を積極的に進めることで、漁業所得の向上と担い手確保につなげていくことは、これからの漁業をつくっていくために大切なことであると考えている。
そこで、本県の水産業のスマート化を進めるため、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺う。

県では、定置網漁業のスマート化を図るため、令和5年度から、通信機能を備えた水中カメラ等を相模湾の2か所の定置網に設置しています。
そして、陸上から定置網の中の魚の情報をリアルタイムで確認できるようにするとともに、AIで魚種の判定をするシステムの実証試験を行い、8割以上正しく判定できています。
一方、定置網の形状や大きさによって、水中カメラ等の設置方法に工夫が必要なことや、定置網の場所によって獲れる魚の種類が異なることから、今後、より多くの定置網で実証試験を行う必要があります。
そこで、効率化や省力化といったスマート化のメリットをPRし、実証試験に協力してくれる定置網漁業者を増やし、実際の操業で必要となる機能や、扱い易さ、耐久性などの改良を重ねることで、実用的なシステムを開発していきたいと考えています。
また、こうして開発したシステムを県内の定置網漁業者に実際に導入していただくためには、高額な初期費用の負担を軽減する必要があることから、国に対し補助事業の拡充を求めていきます。
併せて、システムの導入を着実に漁業所得の向上と新たな雇用につなげる必要があることから、定置網の中の魚の情報を事前に市場関係者に提供して、より多くの仲買人を集め、競りの価格を上昇させる仕組みづくりを検討していきます。
こうした取組により、水産業のスマート化を推進し、漁業所得の向上と担い手の確保を図ってまいります。

定置網のスマート化を進めるため、開発したシステムの性能や、導入による省力化、効率化の効果など、スマート化のメリットを定置網漁業者にPRしていくと答弁をいただいたが、具体的にどのような手法でPRしていくのか、見解を伺う。

県内の定置網漁業者の多くが会員となっている「神奈川県定置漁業研究会」が定期的に開催している研修会において、システムの性能やスマート化のメリットを分かりやすく説明していきます。
また、陸上で定置網の中の魚の情報を確認できることから、出漁するかしないかの判断や、必要な氷の準備が事前にできることなど、様々なメリットについて、実際に実証試験に協力していただいている定置網漁業者から、他の漁業者に伝えていただきたいと考えています。
こうした取組により、スマート化のメリットをしっかりとPRしていきます。

スマート化、デジタル化は水産業に限らず、社会的な流れで、有効活用していくことは欠かせないと考えていますが、現場の声を聞くと、費用面、費用対効果といった点から、消極的な声も多く聞きます。県はこれまで、未来の水産業を見据えて、スマート化の実証実験を進めてきたと承知していますが、その取組の成果は、実験するだけではなく、導入されて漁業者の所得向上や効率化につなげることが重要だと考えています。ぜひ導入まで、しっかりと責任をもって取り組んでいくことを要望します。
また、スマート化によるメリットは、これまでも発信してきたと思いますが、現場の皆さんの声を聞くと、まだまだ浸透してないと感じています。これまでやってきたことを続けるだけではなく、発信の場所や手法など幅広く検討し、発信をしていくことを要望します。
そして費用面では、国への要望だけではなく、県としても水産業者、漁業者を応援し、食を守っていくための補助制度を検討することをぜひ要望します。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠