令和6年

空き家対策【令和6年第3回定例会】

会議日:令和6年10月4日【産業振興特別委員会 質問】答弁要旨

「空き家対策」

大村悠

私からは、空き家についてお伺いをします。

令和5年の住宅土地統計調査によると、全国の空き家は約900万戸と過去最多となり、県内でも、将来的に利用目的がなく、管理不全になりやすい空き家の数が約15万戸と、過去最多となっています。私の地元でも空き家が目立つようになっており、放置され活用されていない空き家も見受けられている状況でございます。

関連して、また昨年度、法改正があったということも踏まえて、何点か確認をさせてもらいたいと思います。

まず、県内市町村において、空き家を移住定住施策に活用している市町村の具体的な事例についてお伺いします。

地域政策課長

多くの市町村で、空き家バンクとして移住を希望する方に物件として紹介する、そういう取組を行っております。また、空き家を活用して、現地での生活をお試しで体験する、いわゆるトライアルステイの取組を進めている市町村がございます。

具体的には、例えば、山北町におきますホタルの家、真鶴町におきますくらしかる真鶴、また秦野市では丹沢ライフということが挙げられます。また、湯河原町におきましては、一般社団法人ユガラボという一般社団法人と連携いたしまして、空き家、また空き店舗などを地域の交流拠点として活用して、移住の相談なども行っている事例がございます。

大村悠

市町村の具体的な取組について、今御答弁をいただきましたが、県が把握している範囲で、そういった取組の実施に当たって、市町村はどういった課題を抱えているのは確認します。

地域政策課長

市町村に具体的にヒアリングを行いましたところ、利活用が可能な空き家の掘り起こし、ここに課題を抱えているという事例が多く見られまして、例えば、移住希望者の希望にかなう空き家がなくて、なかなかマッチングができないとか、そもそも空き家バンクへの登録など、利活用できる空き家が少ないと、こういった声が聞かれたところでございます。

大村悠

各市町村、それぞれ課題や地域性に応じて取組を進めているということで、今確認をさせてもらいましたが、やはりそういった移住定住の取組というのは大変難しいということも承知をしています。
そういった中で、県としては、そういった市町村の取組もそうですし、他県の有効事例などもしっかりと分析をして、県として公益的な立場から市町村に対して支援をしていくことを要望したいと思います。

次に、今般、空き家の所有者の活用意向がないことなどにより、そのままにされている空き家が多くあるといった背景もあり、昨年12月に空き家法が改正されたと承知していますが、改正の概要について確認します。

住宅計画課副課長

改正の概要ですが、保有者に対し、国や自治体の政策に協力するよう努力義務が課せられたほか、主に三つの観点から改正が行われています。

まず1点目、空き家の活用拡大の観点から、市町村や空家等活用促進区域を定めた当該区域で、重点的に空き家の利活用の促進を図ることができる新たな制度が創設されました。

次に2点目、空き家の適切な管理の観点から、放置すれば将来的に周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家を管理不全空き家として位置づけ、市町村が指導、勧告できる制度が新たに設けられました。

最後に3点目、除却の円滑化の観点から、倒壊の危険のある空き家に対し、緊急時に命令等の事前手続を経ずに代執行ができるなど、改正が行われました。

大村悠

3点について、答弁いただきました。

答弁でもありましたが、今回の改正の中で創設された管理不全空き家という制度について、改めて具体的にどういった制度なのか確認します。

住宅計画課副課長

改正前は、倒壊の恐れがあり、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家を特定空き家と位置づけ、市町村が所有者に対して指導や勧告、命令などを行うことができる制度で、主にこうした空き家を除却することで対策を進めてきました。今般の改正では、特定空き家の状態まで悪化してしまう前の空き家を、新たに管理不全空き家と位置づけ、市町村が所有者に対して適切な管理を行うよう指導、勧告できるようになりました。また、勧告を行った場合には、固定資産税などの軽減措置が解除されるといった市町村の税制面での対応も可能となる仕組みとなっています。

大村悠

今回の法改正の中で、行政としてできることなどを、整理をさせていただきました。
こういった法改正が進んだわけでありますが、市町村がこの制度を運用するに当たって、課題をどう認識しているのかお伺いします。

住宅計画課副課長

管理不全空き家の制度運用に当たっての課題ですが、市町村からは、どのような状態の空き家を管理不全空き家と扱えばよいのか、判断が難しいといった声が寄せられています。一定の基準について国からガイドラインが示されていますが、市町村の担当者がより判断しやすい基準の整備が必要であり、県としてこれを課題と受け止めています。

大村悠

どういった物件を管理不全空き家としていいのかという、その基準が難しいということですが、具体的に、国はどういった指標というか基準を示されているのでしょうか。

住宅計画課副課長

国のガイドラインの主な内容というお尋ねがありました。
判断基準としましては、一つには、建物の外観、主に屋根や外壁などの部材の劣化の具合です。

2点目としては、空き家の周囲の状況、道路ですとか隣接の戸建てに対する影響力、そういったものを勘案して、周囲に与える影響についても評価をするというものを示されております。

大村悠

なかなか数字で示すのも難しいということは理解しますが、市町村の課題に対して、この法改正によっての実効性を高めるためには、そういった課題を解消していかなければいけないと思います。

この制度運用に当たって、市町村が抱えている課題に対して、県はどのように対応を考えているのかお伺いします。

住宅計画課副課長

県が建物調査の専門家の協力なども得ながら、管理不全空き家の判断基準を整理した判断マニュアルを作成し、市町村に提供する予定です。

具体には、先ほども申しましたが、チェックリスト形式により、屋根や外壁など部材ごとの劣化の度合いや、管理せず放置した場合に、空き家の周囲に与える影響なども評価し、判断できるものを考えております。

大村悠

今、マニュアル等の作成に向けて取り組んでいるとのことですが、スケジュールはどう考えているのかお伺いします。

住宅計画課副課長

判断マニュアルについては、今年度中に作成し、市町村担当者向けに説明会を行って、ルールの積極的な活用を促します。
また今後、市町村でマニュアルを活用していただく中で、様々な疑問などが生じる可能性もありますので、質疑対応や市町村間の情報共有も行って、市町村の空き家対策が円滑に進むよう支援してまいります。

大村悠

今、課題を抱えている市町村を中心に確認しましたが、中でも、この法改正があって、積極的にこういった取組を進めている市町村もあると思います。
そういった市町村については、市独自でそういったガイドラインをつくっているものなのか、どういった形で進めているのかお伺いします。

住宅計画課副課長

先ほど御指摘がありました国からのガイドラインが既に提示されているということもございますので、幾つかの市においては、独自にマニュアル等をつくって、動き始めているということも考えられます。

大村悠

空き家の所有者の調査につきましては、金沢区でも結構所有者不明の、外から見たらなかなか分からないような物件が多い中で、金沢区の行政書士さんと連携をして、そういった所有者の調査などを進めているところですが、それも年間で30件ぐらいしかやっていないという状況と聞きました。
行政書士さんによると、もっともっと多いんじゃないかということも指摘をされています。
そういった民間団体などとしっかりと連携してもらいたいと思いますし、先ほどの、既に取り組んでいる市町村として、横浜市も積極的に取り組んでいるということを承知しています。
市町村によって課題が違うと思うので、成功事例やいい取組については、県としてもしっかり把握をして、全県的に展開できるように支援することを求めます。

それでは、最後、要望を申し上げます。

今回法改正されたことによって、新たに管理不全空き家の段階から市町村が所有者に対し適切な管理を促すことができるようになったことは、大変重要なことだと認識をしています。私の地元の金沢区では、人口減少が進んでいるものの住む場所が少ないという状況で、住んでいない空き家が多いということも事実でございます。

こういった問題につきましては、全県的な問題ということもしっかりと認識をして、県として実態を把握し、引き続き市町村の支援に取り組んでいくことを要望して、私の質問を終わります。

自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠

関連記事

TOP