会議日:令和7年3月7日【厚生常任委員会 質問】答弁要旨
「看護師確保に向けた取組」

看護師確保に関連しまして、かながわ地域看護師養成事業費補助について何点かお伺いします。
まず確認になりますが、ただの看護師ではなく、かながわ地域看護師の養成の狙い、考え方について確認させてもらいたいと思います。

かながわ地域看護師とは、病院や訪問看護ステーション、介護施設など、地域の様々な施設で看護師の人材交流を行うことで、急性期の医療から在宅まで幅広い領域に対応できる能力を持ち、施設間連携や多職種連携に強い看護師を育成する取組です。こうした看護師を育成することにより、超高齢社会において必要となる医療と介護の両方のニーズを併せ持つ患者の状態に応じた切れ目のない円滑な医療提供が期待できます。
また、看護師は結婚や出産、介護などライフイベントによる離職が多いという特徴があるため、ライフステージに合わせた働く場の選択肢が広がることで、キャリア支援や離職防止といった看護師の人材確保にもつながるというふうに考えております。

看護師は活躍の範囲が広いので、その中で多職種、施設間連携などの答弁もありましたが、そういった考え方を基にこれまでどういった取組を県として進めてきたのかお伺いします。

県では、地域においてかながわ地域看護師を育成する人材交流の仕組みを構築するため、看護学生の実習を受け入れている約130の病院で構成される神奈川県看護師等養成実習病院連絡協議会と共同で、令和3年度から神奈川県地域看護師養成事業検討会を設置いたしまして、人材交流の効果や実施に当たっての課題を踏まえた取組の検討を進めてきました。
また、令和5年度には取組が円滑にできるよう、出向契約の締結や労務管理の調整方法のポイントをまとめたかながわ地域看護師養成ガイドを作成いたしました。
さらに、今年度につきましては、医療機関等に対して、この養成ガイドの周知及び先行事例の紹介を行うとともに、先行事例の課題を踏まえまして、より多くの医療機関等で取り組めるよう支援について検討いたしまして、令和7年度当初予算案に補助事業を計上したところです。

ただいま答弁にあった「かながわ地域看護師養成ガイド」、令和5年度に策定されたものですが、その概要について確認をさせてください。

異なる施設間での人材交流を円滑に進めるため、人材交流を五つのステップ、つまり組織内の調整、組織間の調整、出向契約の締結、出向の実施、出向の評価に分けまして、必要な手順のポイントをまとめたものというふうになっております。
また、各施設で活用しやすいように、施設間で締結する出向契約書の様式ですとか、出向者に明示して同意を得る出向条件通知書兼同意書の様式といったもの、それから必要な手順のチェックリストについても掲載しております。

出向にまつわる手続や取組について、答弁で確認しました。
その中で、この人材交流をより一層取り組んでいくという中で、既に医療機関等で人材交流に取り組んでいるところがあれば、どういった状況なのかお伺いします。

先行する取組といたしましては、昨年度急性期病院から地域の中小病院に出向しまして、在宅療養に向けた様々な医療介護サービスや、多職種と実際に関わりまして、それぞれの役割や専門性、連携方法を学んだケースですとか、今年度につきましては、急性期病院と精神科病院の間で相互に人材交流を行いまして、身体合併症の精神患者への対処方法ですとか、精神患者に対する行動制限の最小化の取組を学んだケースがございます。
先行して導入を始めた医療機関からは、出向で学んだ成果を院内で共有し、施設間の連携力が向上したといった声がある一方で、施設間で異なる給与、労働条件の調整が大変ですとか、交流する人材を育て上げるには相応の負担がかかるといったような声も聞いておりまして、こうした先行事例を参考に、より多くの地域で地域看護師の取組を実施いただけるよう、必要な支援を検討しまして、このたび令和7年度当初予算案に計上したところです。

これまでの取組状況から、また令和元年度に計上した事業の背景、考え方についても答弁いただきましたが、この中で令和7年度の新規事業であるかながわ地域看護師養成事業費補助についての予算額、補助対象について確認します。

予算額は1,730余万円で、財源は国の地域医療介護総合確保基金の活用を予定しております。
補助対象につきましては、県内に所在する病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所、介護施設など看護師が勤務する幅広い施設を対象とし、多くの施設に活用いただけるよう、1施設につき人材交流のノウハウが確立できるまでの3年間に限定しております。
補助内容は、出向契約等に係る事務経費ですとか人材育成に係る教育経費、施設間で異なる給与等の差額等を補助し、補助率は4分の3となっております。

具体的にどういった施設で人材交流をしていく予定なのかお伺いさせていただきます。

令和7年度につきましては、今年度県内病院を対象に実施した意向調査の結果を踏まえまして、双方向の人材交流としましては、急性期病院と地域の中小病院、それから急性期病院と 病院、急性期病院と精神科病院との組合せで人材交流を予定しております。
また、神奈川県の出向といたしましては、急性期病院から訪問看護ステーションや介護施設への出向を予定しており、これらを合わせまして来年度は合計で12名程度の人材交流を見込んでいるところでございます。

12名程度ということで確認しました。
つい先日、看護協会の青年部の皆さんと意見交換をする場がありました。
プログラムとしては、キャリアプランを考える、看護師でも看護学校の講師をやっている方や、医療DXに専門的に取り組んでいる方、いろんなキャリアを積んでいっている方のお話を聞いたり、他の病院の方々と意見交換をする場があったときに、自分たちの職場だけではない目線を持つことが今の職場を改善することにもつながるし、自分の人生、キャリアを考えていく上で重要だったということで、本当に有意義な会議でした。
その一方で、今回の人材交流も大変重要だと思うんですが、今の仕事が忙し過ぎてなかなか手が回らないことや、考えが及ばない、行動に移せないという方々もたくさんいらっしゃいました。
そういった中で県として、前向きに取り組んでくれる、狙いをしっかり理解してもらうことが、より実効性を高めていくという上で重要だと思います。
その辺の県の考えや方、人選については病院が推薦して選定するのか、また個人として希望をとるのか、その辺りの県の考え方について、答えられる範囲でお伺いします。

このかながわ地域看護師の仕組みの各地域への展開に当たりましては、先ほども述べましたけれども、養成ガイドを作成いたしまして周知を行うですとか、先行事例の取組を周知するですとかというようなことで、これまでも周知を進めてまいりました。
今後につきましては、先ほど申し上げました神奈川県看護師等養成実習病院連絡協議会の協力を得まして、この協議会が主催する会議での説明を予定しておりまして、この会議ではこれまでに出向された方の経験談をお話いただくというような、そういったような場も設けるというふうに伺っておりますので、こうした場などを通じまして、より多くの方にこの取組を理解いただけるような機会をつくることによって、地域看護師の意義について御理解いただけるような取組を進めていきたいというふうに考えております。

せっかく予算を確保した事業ですので、しっかりと有意義に実効性が高まる取組を進めてもらいたいと思います。
その上で今後どのように事業を展開していこうと考えているのかお伺いします。

高齢化の進展に伴いまして、患者の状態に応じて多様な医療ニーズに対応し、切れ目ない円滑な医療提供ができる質の高い看護師がより一層求められております。
一方で、地域の医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなどでは、施設の規模や立地によりまして財源やマンパワーに差があり、特に小規模な施設におきましては、個々の施設で質の高い看護師を確保、育成することが難しい面がございまして、地域の各施設が連携して、看護師を確保、育成することが有効であるというふうに考えております。
この事業によりまして、人材交流を支援することにより、県内の全ての二次保健医療圏にこの仕組みを展開し、地域が一体となって質の高い看護師を確保、育成する仕組みを構築していきたいと考えております。

今後、県内に広げていくということでございました。
来年度の予算、見込みについては12名ということですが、その取組をどう広げていくのか、やって終わりにすることなく、効果や課題も出てくると思いますので、広げていくために、しっかりと取り組んでいただくことを要望します。
また、人材確保という面では、就労者数を増やす、離職者を減らすという両面で考えていくことが重要だと思いますので、キャリアデザインといった視点を持って、これからもしっかりと取り組んでいただくことを要望して、この質問を終わります。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠