会議日:令和7年3月7日【厚生常任委員会 質問】答弁要旨
「県立病院機構への経営支援」

私からは、まず県立病院機構への支援についてです。
本定例会におきまして、神奈川県立病院機構の第4期中期計画認可について議案が提出されました。
また、本会議での知事の提案説明でも病院機構の大変厳しい経営状況について言及がございましたので、何点か確認します。
この知事の提案説明の中で、病院機構の今年度の決算は約50億円の赤字が見込まれているという話が出ていましたが、こうした厳しい状況となった要因についてどう分析しているのかまずお伺いします。

まず収益の面につきましては、病院によって少し動きが異なりますが、全体を見ますと収入の要となる入院、外来の患者数が減少している中、患者の単価は上がっており、コロナ前の令和元年度の決算と比べますと、収入は増加している状況でございます。
一方、費用の面につきましては、同様にコロナ前と比べますと、人件費の増加や光熱費、診療材料などの物価高騰により支出も増加している状況でございます。こうした支出の増加を収入の増加で賄い切れていないということから、今年度は過去最大である約50億円の赤字を見込んでいる状況でございます。

コロナ前というのはどういった状況だったのでしょうか。

コロナ前につきましても、病院機構の決算自体はやはり赤字の状況であったことは事実でございます。

金額的には今、把握してますか。

コロナ前ということですと、令和元年度の決算の状況につきましては、経常損益で申しますと、約3億9,000万円の赤字といった決算になっております。

コロナ前が予算9,000万円の赤字ということで、額だけ見ても積み上がっている状況ということを今確認させてもらいました。
そういった中で、県立病院として医療提供の体制をしっかりと確保していくということが県民の安心・安全にもつながってくると思うんですが、患者への医療提供体制への影響というのは生じていないのか確認させてください。

病院機構の資金繰りは非常に厳しいものの、薬品費、診療材料費、委託費、光熱水費、職員給与といった費用の支払いに対する当面の資金は確保されていることは把握しておりますので、直ちに患者さんに対する診療等に影響は生じないものと考えております。

直ちに影響はないというものの、この額だけ見ても本当に不安になってしまうような数字だという受け止めをしています。
そういった中で、収益をしっかりと確保する、収入を増やしていく、そして支出を少しでも減らしていくということが重要だと思うんですが、そういった取組についてはどんな形で取り組んでいくかお伺いします。

県では、令和年度から始まる第4期中期目標において、病院機構に対し収益の確保及び費用の節減を指示しております。これを受けて病院機構では、今回議案で提出をしております令和7年度からの第4期中期計画案において、収益の確保と費用の節減の取組を盛り込んでおります。
具体的には、収益の確保としましては、キャッシュレス決済等による未収金の発生防止や診療報酬請求のさらなる適正化など、費用の節減といたしましては、医療DX等による業務効率化を見据えた人員体制の見直しや、各病院での後発医薬品の採用の促進などに取り組むこととしております。

キャッシュレス、DXなど未収金の回収だとか様々な手法について答弁いただきましたが、この取組を進めた上で、改善の見込み、目標といった数字の指標というのは設けているんでしょうか。

第4期の中期計画期間の最終年度である令和11年度におきましては、経営改善等の取組により、県から支出をしております運営費負担金を加味した純損益は2億6,000万円の黒字となることを見込んでおります。
ただし、この計画は今後の人件費や物価の動向を見込んだものではございませんので、引き続き費用が高騰するようなことがありますと、厳しい経営状況というのは続くものと考えておりますが、現時点の計画ではこういった見込みを立てているところでございます。

続いて、令和7年度当初予算案につきまして、病院機構への運営費負担金が増額されています。
この負担金、どのような考え方で積算されているのか確認します。

令和7年度の当初予算案におきましては、運営費負担金はこれまでよりも増額をさせていただいております。具体的には、まず病院機構内の医療DXの推進に向けて、オンライン診療やスマート受診の体制を構築するための経費や、病院機構の5病院が保有している医療データを共有し、有効活用するための情報プラットフォームの整備を進めるための経費を新たに計上しております。
また、県西地域での医療DXの推進に向けて、地域の拠点病院である足柄上病院を核とした病院間連携を中心に、オンライン診療や遠隔診療をはじめ、将来的には災害時にも活用ができるデジタル情報基盤の構築に向けた検討を行うための経費というものも新たに計上しております。
さらに、病院機構内における医療安全体制の強化を支援するため、ヒューマンエラーを防止するための医療安全サポート機器の導入や、こども医療センターの医師や看護師などのスタッフを増員するための経費も計上したところでございます。

令和7年度からの第4期の中期計画の実践に向けて、こちらの運営費の負担金を増額して積算をされていることで今確認をさせてもらいました。前回の委員会でも第3回後期の定例会でも確認させてもらったんですが、こういった経営状況の中とはいえ、しっかりと人材を確保するということが重要な課題だと認識しております。
そうした中で人材確保、育成していくために病院機構で取り組んでいることを改めて確認させてもらいたいと思います。

病院機構ではこれまでも人材確保の取組は進めせていただいておりますけれども、改めて令和7年度からの第4期中期計画案におきましては、医師の確保については、大学の医局ローテーションに加え、公募等の応募を検討することとしております。
また、その他の職種につきましても、就職説明会への参加等積極的な採用活動や、弾力的な採用試験を実施しております。
さらに、働きやすい職場ということも重要でございますので、職場環境の整備や働き方改革に取り組むこととしております。
加えて、病院機構では医師の確保が特に困難な足柄上病院については、来年度から医師確保のための新たな手当を想定すると聞いております。

答弁を聞いている限り、これまでもやってきたんじゃないかと感じるんです。
今までの取組の中で、どういった課題があって、そういった次につなげていくための人材確保策なのか、考え方をお伺いします。

これまでも病院機構では人材確保の取組を進めさせていただいておりますが、やはり特に医師の確保というところは困難でございますので、そういった処遇の改善ということで、先ほど御答弁いたしましたところでは、新たな手当の創設といったことも検討というか、実施をしていくとに聞いておりますので、どういった形であれば医師の方、それからほかのスタッフの方が病院機構で働いていけるかを考えて、そういった取組をされると承知しております。

そういった取組につきましては、言葉ではなかなか表現が難しい強化する点とかもあると思うんですが、検証を進めながら人材確保に取り組んでもらいたいです。
今後も県立病院の経営が大変厳しい状況が続くということが推察されますが、県として病院機構に対してどのように支援をしていくのか確認します。

病院機構は独立行政法人でございまして、一義的には自立的、自主的な運営が求められる一方で、県立病院の運営を通じて県の保健医療施策を進め、県民の健康を守る最後のとりでという役割を担っております。また、安心・安全で質の高い医療を提供するとともに、医療DXの推進や感染症医療、災害時の医療提供などに関して、県内の医療機関のフロントランナーとしての役割を担っていただくことも必要と考えております。
病院機構がこのような役割をしっかりと果たしていけるよう、県としては病院機構と密に連携し、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

今、独立行政法人という話が出ましたが、名称が県立病院機構でありますから、県民の皆様にとっての安全で安心して医療が受けられる、また民間ではなかなか収益性が難しい医療につきましてもしっかり守っていくために県としても責任を持って、引き続き支援していくことを要望してこの質問を終わります。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠