10月14日、本会議の採決日であり、今定例会に提案された議案等に対して、自民党を代表して賛成討論に登壇しました。
賛成討論での発言
自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、今定例会に提案された定県第85号議案 令和7年度 神奈川県 一般会計補正予算案他 諸議案等に対し、所管常任委員会における審議ならびに審査結果を踏まえ、討論を行います。


はじめに「税収見通しと今後の財政運営について」です。
現時点で、県税収入について増収を期待できるものの、来年度財政収支見通しでは、500億円の財源不足と見込んでいます。米国関税措置等の影響による海外経済の動向次第では、税収が下振れするリスクもあり、今後の動向をしっかりと注視していくよう求めます。
来年度 当初予算編成については、歳入確保を図るとともに、長期化している物価高騰の影響や県民生活に直結する喫緊の課題に対して的確に対応できるよう、必要な施策に適切に予算を配分していくことが重要です。
これまでの事業成果等も踏まえた事業見直しを徹底するなど、持続可能な財政運営に努めることを求めます。

次に「一般業務委託におけるスライド制度の導入について」です。
物価や人件費水準の上昇に県民、企業が苦しむ中で、県が官公需の価格転嫁の取組を進めることは大きく評価をします。
今回導入するスライド制度をしっかりと事業者に周知し、安心して県の事業に応札できるようにするとともに、受注者からスライド適用の協議が請求された際、速やかに対応するよう、庁内、特に出先機関への周知等についても徹底することを求めます。

次に「川崎市内のストーカー事案等に関する検証結果と今後の対策について」です。
川崎市内で、元交際相手の自宅から女性のご遺体が発見された事件では、県警察の一連の対応状況に関する報告書が県警察のホームページに公開されました。被害者や親族からの訴えがあったにもかかわらず、結果的に命が奪われました。二度と繰り返してはなりません。
人身安全関連事案は、事案認知から 結了に至るまで 長期化するものが多く、被害者等の保護等も継続的な対応を要するものです。単に被害者等に対する防犯指導や 加害者に口頭指導を実施したことなどをもって 安易に結了することなどがないよう、各部署が連携して、関連のある複数の相談などを集約し、事態の全体像を掌握した上で危険性・切迫性を適切に評価し、対応することを強く求めます。

次に「ベトナムフェスタin神奈川について」です。
県内在住のベトナム人が増える中、ベトナムフェスタを契機に、ベトナムとの交流が活発化し、相互理解が深まることは、多文化共生の観点からも有意義な取組と考えています。
今後も、本県とベトナム 両地域の持続的な交流を推進するとともに、ベトナムに 現地駐在員を配置するなど、発展的に関係性が深まるよう取組むことを求めます。


次に「神奈川県立県民ホール 本館の再整備について」です。
新たな県民ホールが、県の文化行政の中核的な施設として、今後、長く県民の皆様に愛される施設となるよう、基本構想の策定作業を着実に進めていくべきと考えます。
まちづくりビジョンの策定に取組む横浜市と、綿密な意見交換をし、再整備の検討を進めながら、地域が一体となった「にぎわいづくり、まちづくり」にも貢献できるよう、周辺の施設とも、しっかりと連携して取組むことが重要です。
また、香港・マカオで所管常任委員会が視察したギャラクシーアリーナなど統合型リゾートなどを参考にするなど、人を惹きつける取組みも視野に入れて検討を深めていくことを求めます。

次に「GREEN×EXPO 2027の開催に向けた取組状況について」です。
今回の補正予算案に計上した「国際園芸博覧会推進事業費」により県内全域の機運醸成を図るため、県内での認知度を早期に向上させるよう、市町村と連携して効果的に取組むことが重要です。
そして、大阪・関西万博での経験を踏まえ、暑熱対策や 交通問題など様々な課題について、GREEN×EXPOはグリーンや環境をテーマにしていることから、特に有用性などを感じられる工夫や、高齢者や障害者に対応した、バリアフリー等の配慮、緊急時の対応策など、万全な準備をするよう強く求めます。
また、学生ボランティアやワークショップ等、未成年者も参加できる機会の確保や跡地利用の検討を含め、協会と連携を密にし、神奈川・横浜の新レガシーを生み出すGREEN×EXPOとなるよう取組むことを求めます。

次に「神奈川県食品ロス削減推進計画の改定素案について」です。
国の新たな方針を受け「2000年度比で 2030年度までに60%」と引上げられた事業計画の削減目標を、しっかりと達成できるよう取組の道筋を立てることが重要です。
また、外食時の食べ残しの問題については、持ち帰りが可能なものは持ち帰ることができるよう飲食店などにも徹底し、食品残渣の 削減に努めることを求めます。
さらに、県が作成している「食べきり」の呼びかけポスターを、広く掲示してもらえるよう、取組むことも求めます。

次に「新たな地方独立行政法人の設立について」です。
中井やまゆり園における独法をめぐっては、さまざまな背景の中で、福祉の質を高め、当事者目線の福祉を実践していく必要があるという考えの下、議論を進めてきました。
組織は人で成り立ち、そこには信頼関係が何よりも大事なことです。また、職員たちが心身ともに健康でなければ、質の高い支援は実現しません。良質な環境を阻害する要因として、ハラスメントは大きく影響します。人材確保・育成について、内部でもしっかりと議論することを求めます。 そして理事長候補のもと、組織執行体制のあり方についても、引き続き、検討を重ねていくことを強く求めます。


次に「県立がんセンターにおける医療事故について」です。
今回のような事案が二度と起こらないよう、がんセンターと運営する県立病院機構は、再発防止に向け、早急に原因究明をする必要があります。
県としても、病院の設置者として、県立病院機構に対し、必要な指導や支援をすることが求められています。
県立がんセンターは病院機構が運営しているものの、県立の施設として、県民は信頼を寄せているからこそ、事故が起きた時に、県がしっかりと対応することを強く求めます。
さらに、受け入れ中止により転院などを余儀なくされた患者さんに対し、寄り添った対応をしていくように求めます。

次に「民泊への対応について」です。
民泊は、近年のインバウンド増加に伴う外国人観光客の宿泊需要の受け皿として一定の役割を果たしていることは理解していますが、その一方で、全国各地で 騒音やゴミ問題など周辺住民の生活環境にも影響する事例も生じており、新たな民泊施設の設置に反対する声も聞いています。
民泊施設の事業者や管理業者には施設の適切な管理を行い、民泊運営を推進していただくと共に、民泊利用者の迷惑行為の状況について、法を所管する国土交通省及び観光庁としっかり共有することも強く求めます。
また、鎌倉市のように、市町村から条例による民泊事業の制限を求める声に対しては、どのような状況からその制限が必要になるか、しっかりと検討し、必要に応じて制限する区域を拡大することを求めます。

次に「米国関税及び 日産自動車 生産縮小への対応について」です。
米国関税の動向は中小企業にとっても、大変大きな影響があります。
また、今後、日産自動車追浜工場の車両生産終了の影響が顕在化してくるおそれもあり、地場産業への影響を極力、抑える取組が重要です。
事業者への支援策をまとめたリーフレットの作成や補正予算による措置に加え、支援機関等でも独自に対応するなど、オール神奈川で取組む必要があります。
不透明な経営環境のなか、影響を受ける事業者や県民の不安が軽減されるよう、引き続き、県をはじめとする行政機関と支援機関などが一体的に連携し、今回のワーキンググループでの議論の結果も踏まえて、適切に支援していくことを求めます。

次に「令和9年度再編・統合対象校の設置基本計画案について」です。
生徒数が減少する中で、県立高校の活力ある教育活動と学校運営を円滑に展開するために、再編・統合の必要性については理解するものの、地域によって、唯一の県立高校がなくなることによる、まちの活気づくりへの影響も考えるべきことと、
今後、再編・統合を進めるには、対象校の生徒、保護者、卒業生、地域の方々の意見も丁寧に聴き、それぞれの想いに寄り添い、魅力ある新しい県立高校づくりを進めていくことを求めます。

最後に「不祥事防止について」です。
教育現場で、依然として、性犯罪・性暴力等が発生していることは重大な事態と言わざるを得ません。
すべての教職員に不祥事を自分事として意識させるため、研修等も工夫をして実施し、市町村と連携して再発防止に向けて、取組むことを強く求めます。
以上、意見・要望を申し上げ、今定例会に提案された諸議案等に関し、所管常任委員会の審査結果報告のとおり、賛成することを表明し、討論を終わります。
自由民主党 神奈川県議会議員:大村 悠