評価の多様化が、道をひらく

教育

知らなければ、選べない

野球しか知らなかった私が、100社で世界を知った

小学校ではソフトボール、中学・高校・大学と、私は野球一筋でした。高校の同級生にはプロ野球選手になった友人もいます。私はなれませんでした。

そして大学生での就職活動。100社以上にエントリーしながら初めて、世の中にこれほど多様な仕事があり、世界は広く、多くの魅力があることを知りました。恥ずかしながら、私はそこで大きく変わりました。それまでの自分がいかに狭い世界しか見えていなかったか、痛感したのです。

「知らなければ、選べない。」就職活動を通じて、この言葉が骨身にしみました。これが、私がキャリア教育にこだわる原点です。

問題児が、社員として部下を率いる日まで

ある会社の社長から、こんな話を聞きました。
学校では問題児と呼ばれていた生徒が、職業体験の場で目を輝かせた。その姿に可能性を感じ、卒業後に採用した。今は部下を率いる社員として活躍しています、と。

この話を聞いたとき、ある言葉が頭に浮かびました。「座学ができないことで、評価されていない」。学校のテストの点数だけでこどもを測るシステムに、私は根本的な疑問を感じています。評価する場所が一つしかなければ、そこで輝けなかった子どもは行き場を失う。でも評価する人と場所が増えれば、道は必ず開けると考えています。

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キャリア教育と、多様な評価制度へ

もちろん評価が多様になれば、誰が評価をするのか、どういった指標で評価をするのか。そもそも評価は必要なのかも含めて。それによってこどもたちの選択肢や個性が広がることにつながるのか。多角的な議論が必要であることは言うまでもありません。
そうした中で、私は、学校教育の中に「出会いの場」をもっと増やしていく必要があると考えています。民間企業の方々やさまざまな職種の大人が学校に関わり、こどもたちに多様なロールモデルを見せる。それがキャリア教育の本質だと思います。

同時に、評価の仕組みそのものを見直しも視野に研究を進めていく必要があると考えます。地域活動、部活動、ボランティア、職業体験——テストの点数では見えない力を、正当に評価できる制度づくりを、教育現場や有識者の方々の知恵や知見もいただきながら、進めていきたい。一人ひとりが自分の強みを活かせる場をつくることが、こどもたちの可能性を広げることにつながります。

入試制度にも、多様性を

入試制度についても提言してきました。かつての神奈川県立高校入試には、テストの点数以外の要素が評価に組み込まれていました。学生時代に何に取り組んだか、どんな挑戦をしてきたか——そうした経験が評価される仕組みは、多様な可能性を拓きます。

多様な評価が、多様な生き方を認める社会へとつながっていく。入試という「関門」のあり方を見直すことも、教育改革の重要な柱の一つです。

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神奈川で、もう動き始めています

こうした取り組みは、理想論ではありません。神奈川県内では、地域と学校が連携し、多様な評価を取り入れた実践校がすでに動き始めています。現場の先生方や地域の皆様、企業の方々と連携しながら、この動きをさらに広げていきたいと思います。

知らなければ選べない。出会いが道を開く。評価する人と場所が増えるほど、輝けるこどもが増える。その思いを持って、これからも教育政策に取り組んでまいります。

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