県立高校の意義とは
神奈川県には現在、134の県立高校があります。
県立高校は、すべての子どもたちに学ぶ機会を保障する公教育の柱であり、「誰もが通える」学校として教育の機会均等を担っています。
◆ 地域に根ざした教育が受けられる
◆ 多様な背景を持つ生徒が集まり、他者理解と多様性を学べる
進む少子化と定員割れ、問われる存在意義
2025年度(令和7年度)の公立高校入学者選抜においては、全日制38校、定時制5校が定員割れとなり、二次募集が実施されました。
また、私立高校の無償化が進む中で、県立高校とのすみ分けや役割分担が改めて問われています。進学の選択肢が広がることは歓迎すべきことですが、県立高校の入学者減少に拍車がかかり、一部の学校の存続が危ぶまれる懸念もあります。
このような状況だからこそ、県立高校の存在意義とあり方を再定義し、魅力ある学びの場として生まれ変わらせる必要があると考えます。
「新しい学びのかたち」への挑戦
神奈川県では、従来の画一的な学びから脱却し、個人の特性や事情に応じた「新しい学びのかたち」を提案しています。
学び直しや再チャレンジを応援し、生徒の学習意欲を引き出す学校
◆ フレキシブルスクール(例:川崎高校、厚木清南高校)
時間帯や生活スタイルに応じて、柔軟に学べる単位制高校
◆ フロンティアスクール(例:横浜明朋高校、相模向陽館高校)
半日単位でじっくり学べる昼間定時制の新しいモデル
このように、中学時代に不登校やさまざまな事情を抱えた子どもたちにも、学びのチャンスを提供する仕組みが整えられつつあります。
教育の質を高める研究指定校の取組
県教育委員会では、先進的なテーマに挑戦する「研究指定校制度」を進めています。
◆ シチズンシップ教育
◆ 探究学習・SDGs
◆ ICTやSTEAM教育
◆ 授業改善・評価の見直し
◆ グローバル教育や理数教育の推進
私自身、議会で「学習評価の見直し」や「探究の時間の充実」を訴えてきました。
研究にとどまらず、それが全県に広がり、子どもたちに還元されていくことが何よりも重要です。
これらの取組が学校の“特色”となり、魅力ある教育環境につながるよう、引き続き取り組んでいきます。
もっと知ってほしい、県立高校の魅力
せっかく特色ある学校が増えてきているのに、情報発信が十分とは言えないのが現状です。
ホームページの表現も画一的で、各校の魅力が伝わりにくい。そこで私は、以下のようなプロモーション強化を提案しています
◆ プッシュ型の発信(SNS・動画など)
◆ 中学校との連携による進学説明会
◆ 保護者や地域への積極的な広報活動
選ばれる県立高校を目指し、特色づくりとブランディングを進めていきます。
地域とともにある、開かれた学校づくり
特色を生み出すもう一つのカギは「地域連携」です。
教室の中だけでなく、地域の課題や資源を学びの題材にすることで、実践的な学びが深まります。
金沢区には、海・山・歴史・産業・大学など多彩な地域資源があります。これを学校の“学びの素材”として活かし、地域とともに学び、育ち合う学校づくりを進めていきたいと考えています。
また、コミュニティ・スクール制度を活用し、地域・保護者・学校が一体となった運営も大切です。地域を学びのフィールドにすることで、子どもたちの学びもぐっと広がります。
未来につながる県立高校へ
少子化、私立無償化、再編の波…変化の大きい今こそ、県立高校の役割を見つめ直すときです。
誰もが安心して通え、将来の選択肢を広げられるような、開かれた・特色ある・魅力ある県立高校づくりを進めていきます。
そのために、議会での議論を深め、現場と対話し、地域と連携しながら、一歩ずつ取り組んでいきます。
神奈川県議会議員:大村悠