海外販路拡大は“インバウンド”から

観光

「あの頃」に頼らない経済戦略へ

日本は1955年〜1973年の間、いわゆる「高度経済成長」を経験しました。
ベビーブーム世代の労働市場参入、アメリカから導入した技術を日本流に改良する“ものづくり力”、そして家電や自動車など高品質・低価格な製品を世界に輸出したことで、日本は経済大国へと飛躍しました。
しかし、今は少子化・人口減少が進み、国内市場の縮小と労働人口の減少という現実に直面しています。
こうした背景のもと、日本経済が持続可能な成長を目指すには、海外市場への展開が避けられないテーマとなっています。

海外展開のヒントは“足元”にある

今年(2025年)3月、神奈川県議会の県政調査としてフランスを訪れ、JETRO(日本貿易振興機構)やクレア(自治体国際化協会)のパリ事務所を視察しました。
そこで印象的だったのは、現地の日本食レストランで提供されるカツカレーが日本円で約4,300円という価格で販売されていたことです。
物価や流通コストの違いにより、日本から直接輸出して販売するにはハードルが高い現実も明らかになりました。
そこで出てきたのが、「まずは来日している外国人観光客へのアプローチが大切」という提案です。
実際に日本を訪れ、文化や製品に触れた外国人からの反応や声は、海外展開の出発点として非常に有効です。
こうした“インバウンド”でのテストマーケティングを通じて、ニーズや可能性を見極めていくことが、海外販路拡大の第一歩となるのです。

海外と地元をつなぐ新しい視点

また、伝統工芸品や地域の特産品を海外で展開する際、必ずしも日本と同じ用途・形で受け入れられるわけではありません。
例えば、日本では器として親しまれている焼き物が、海外ではジュエリートレイとして高い人気を得ている事例もあります。
重要なのは、作り手としての誇りや想いを大切にしながらも、海外のライフスタイルや感性を取り入れること。
その視点があってこそ、製品の魅力を新しい形で伝えることができ、海外市場でも活躍するチャンスが生まれます。

海外販路拡大-2

 神奈川の魅力を世界へ

“良いものだから売れる”という発想だけでは、グローバル市場で挑戦することは難しいと考えています。
買い手の立場や感性を理解し、マーケティングの視点を取り入れることが必要です。
その入口として最も身近なのが、インバウンド観光客との接点です。
神奈川のイベントや観光地、地元企業・旅行会社と連携し、外国人観光客の声や反応を集める。
その中から商品開発やブランドのヒントを得て、プロモーションへとつなげていく。
地域でのこうした実践を積み重ねることで、やがては海外市場にも通用するプロダクトや仕組みを育てることができます。
私は、こうした地道な取り組みこそが、地元の力を世界へ発信する近道だと信じています。

目の前の実践が、未来をつくる

日本や神奈川の魅力や技術、文化を、より多くの国に届けていくために。
まずは足元にある「インバウンド」の視点から、私たちの地域資源や製品の可能性を広げていきたい。
そして、現地視点や国際的なエッセンスを取り入れながら、持続可能な形での海外展開にチャレンジしていく。
“外に打って出る前に、中に来てくれている人と向き合うこと”
それが、次の経済成長を支える新しい起点になると、私は考えています。

神奈川県議会議員:大村 悠

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