神奈川県の介護の現状
神奈川県では、65歳以上の高齢者人口が2020年には約231万人、2030年には約257万人に増加すると見込まれています。
その中でも、75歳以上の後期高齢者の割合は2020年の約120万人から2030年には約155万人へと拡大することが推計されており、高齢化率も2020年の約26%から2030年には28%超、後期高齢者の割合も2020年の約13%から2030年には16%超になると予測されています。
こうした中で、介護が必要な方が増えていく一方で、支える人手が足りなくなることが大きな課題となっています。
介護の質を維持しながら、限られた人材で持続可能なサービスを提供するためには、ロボットやデジタル技術を上手に活用し、介護の現場をもっと働きやすくすることが大切だと考えています。
ただ、「生産性を上げる」と聞くと、「効率ばかりを求めるのでは?」といった懸念の声があることも理解していますし、不安に思われる方もいるかもしれません。
でも、ここで目指す生産性向上とは単なる効率化や省力化だけを指すものではなく、事務作業の負担を軽減し、ケアの時間を充実させることや、データを活用して質の高い介護を実現することなど、介護職員の負担を減らしながら、利用者の方がより安心して過ごせる環境をつくることです。
例えば、事務作業が減ることで、ケアに使える時間が増えたり、データを活用することで、一人ひとりに合ったサポートがしやすくなったりします。
テクノロジー導入の現状と課題
神奈川県ではこれまで、介護ロボットの実証実験や導入支援を行い、「さがみロボット産業特区」ではロボット開発や企業同士の連携、導入支援にも取り組んできました。
ですが、実際に介護の現場で活用が広がっているとは言えない状況です。
その背景には、次のような課題があると考えています。
・現場でのイメージが湧かない:ロボットが介護にどう役立つのか、具体的に想像しにくい。
・ロボット導入のメリット共有ができてない:テクノロジーを使うことで、ケアの質が向上するという意識が広がっていない。
・施設の規模による制約:小さな施設では、大型の機材を導入するのが難しい。
こうした壁をなくし、誰もが無理なくテクノロジーを活用できる環境を整えていくことが、これからの介護には必要です。
今後の取り組みと方向性
まず、すでにロボットやデジタル技術を取り入れて成功している施設の事例を広く共有し、「こういう使い方ができるんだ」と知ってもらうことが大切だと思います。良い取り組みを可視化することで、導入へのハードルを下げていきます。
また、導入支援についても、いきなり大きな機械を入れるのではなく、タブレットや記録システムなど、負担が少なく始められる方法を増やしていくことが重要です。
例えば、ケアの記録を紙からデジタルにするだけでも、職員の皆さんの手間が減り、その分ご利用者との時間を増やすことができます。
日本全体、そして世界的にも高齢化は進んでおり、介護分野の課題はグローバルなものとなっている。
しかし、だからこそ日本が介護とテクノロジーを組み合わせた取り組みを進めることで、世界に発信できるチャンスでもあると考えています。
介護の現場で働く皆さんには、日々のご尽力に心から感謝しています。
だからこそ、行政が一方的に進めるのではなく、現場の声をしっかり聞きながら、一緒に「これからの介護」を考えていくことが大切だと考えています。
ロボットやデジタル技術は、「介護の負担を減らすための手助け」として使うもの。支える人も支えられる人も、みんなが安心できる介護の形をつくるために、これからも取り組みを進めていきます。
神奈川県議会議員:大村悠
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