子どもたちの可能性を広げる評価と入試制度を

教育

激動の時代に求められる“学び”のかたち

 

これからの社会は、想像を超えるスピードで変化していきます。
そんな時代を生き抜くためには、子どもたち一人ひとりが困難に立ち向かい、自分らしく、主体的かつ創造的に人生を切り拓いていく力が求められます。文部科学省も、これからの学力の基本的な考え方として「生涯にわたって学び続ける力」「個性を発揮し、社会とつながる力」の重要性を強調しています。

社会とつながる教育の必要性

子どもたちが将来、社会の中で活躍していくには、「社会につながる学び」「社会に開かれた教育」が必要です。
私自身もこれまで、キャリア教育を中心とした総合的な学習の時間の充実を訴えてきました。学校現場や民間企業と連携しながら、実践的な取組も行ってきました。

しかしそのなかで感じるのは、学校ごとの“温度差”です。
「キャリア教育=就職のため」という認識が根強く、特に進学率の高い学校では、その重要性が十分に理解されていない現状があります。

もちろん、進学に向けた学びも重要です。
しかし、子どもたちの可能性を広げていくためには、進学・就職という枠を超えた、多様な学びとスキルの習得が求められています。

今の評価制度で「取りこぼしてしまっている子」はいないか?

神奈川県では現在、県立学校における学習状況の評価として「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で評定が行われています。

しかし、この評価は本当に“社会につながる学び”につながっているでしょうか?
たとえば、教科学習以外で優れた個性やスキルを持っている子どもが、今の制度の中で正当に評価されているでしょうか?

私は、現行の評価制度が「社会とつながる力」を適切に反映できているのか、改めて見直す必要があると考えています。

 

実践校の指定と今後の展開

こうした問題意識を踏まえ、令和6年9月の神奈川県議会本会議にて、県立学校での評価制度の見直しについて取り上げました。
その結果として、現在は以下の5校が学習評価の研究・実践を行う「指定校」として選ばれています

指定校◆ 新城高校
◆ 松陽高校
◆ 逗子葉山高校
◆ 平塚農商高校
◆ 上溝高校

これらの学校での取組をもとに、有効な事例の把握と他校への横展開が今後の鍵となります。

▼県立高校改革実施計画(Ⅲ期)における令和7年度からの指定校について▼
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/prs/r7034848.html

入試制度の改革で、学びはもっと変わる

キャリア教育が形骸化したり、学校によって温度差が生まれてしまう背景には、「評価制度」だけでなく「入試制度」も影響しています。

現状の入試は教科学力中心であり、総合的な学習の時間や探究的な活動が評価に反映されることは少ないのが実情です。
しかし、こうした社会につながる学びがしっかりと評価され、進学にも活かされる制度に変えていくことができれば、学校教育そのものが大きく変わっていくはずです。

子どもたちの未来のために、評価と入試をアップデートする

現在、県立学校の評価制度改革は始まっています。私はその成果や課題を丁寧に追いながら、制度全体の改善につなげていきたいと考えています。
そして、入試制度についても、子どもたちの多様な学びが正当に評価されるよう、引き続き議会の場で提言を続けていきます。

「社会とつながる学び」が、当たり前になる教育へ。
すべての子どもたちが、自分の力を信じ、未来を切り拓ける社会を目指して。

神奈川県議会議員:大村悠

「キャリア教育」の本質とは?未来を切り拓く学びを考える

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