部活動の地域移行 ~こどもの機会を守るために~

スポーツ

部活動の地域移行が本格化へ

2022年12月に策定された「学校部活動及び地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドライン」により、部活動の地域移行が国の方針として示されました。

学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン
https://www.mext.go.jp/sports/content/20221227-spt_oripara-000026750_1.pdf

令和8年からは改革実行期間に入り、全国的に本格的な移行が進む見込みです。

神奈川県でも市町村や学校を指定し、運動部・文化部ともに実証実験を行ってきましたが、現場では「想像以上に難しい」という声が多く聞かれています。国が示す成功事例も、スポーツクラブの規模や地域性に左右され、そのまま横展開ができるものではありません。

神奈川県には公立中学校406校、県立高校134校がある一方、行政が受け皿として期待している総合型地域スポーツクラブは111団体。
この数字だけを見ても、現状のまま地域移行が進むのは極めて難しい状況です。
教員の働き方改革の一環とはいえ、こどもたちの学びや成長の場を守れるのか。
そのことに強い危機感を覚えています。

公園と地域-2

地域移行の最大の壁:人材とお金の問題

【1. 人材面の課題】

① 地域の受け皿が不足◆ 総合型地域スポーツクラブの数が足りない
◆ 既存クラブも指導者・施設ともに余力がない
② 指導者の確保が困難◆ 平日夕方・休日を安定して対応できる人が少ない
◆ 年間を通した継続指導が難しい
③ マイナースポーツの指導者不足◆ 野球・サッカーは確保しやすいが卓球・弓道・新体操・吹奏楽などは地域に専門人材がいない
◆ 結果として「受け皿がない競技」が生まれる
④ 指導の質と教育的観点の担保◆ 教員との指導理念の差
◆ 安全管理やハラスメント対応
◆ 勝利至上主義になりやすい環境も
「子どものための部活」が、「指導者が見つかる競技だけ」になってしまう恐れがあります。

 

【2. 金銭面の課題】

① 地域指導者は有償化が前提◆ これまで教員の無償労働で成り立っていた部分の担い手がいない
◆ 地域側は“受け入れるほど赤字”になりやすい
② 参加費の高騰=家庭格差の拡大◆ 指導料・施設料・備品費・保険料などが積み上がる
◆ 結果として「入りたいのに入れない」格差が生まれる可能性
③ 団体側の運営費負担◆ 施設利用料
◆ 備品購入
◆ 保険や交通費
※これらは最終的に「家庭負担」に跳ね返ることが多い。部活が 【一部の家庭だけが参加できるもの】 になってはならない。

 行政がすぐに取り組むべきこと

地域移行を現実的に進めるには、県として次の対応が不可欠です。

【1. 財源の確保と国への働きかけ】◎ 国は方針のみで、費用負担は自治体に委ねられている
◎ 県としても明確な財源確保が急務
◎ しかし継続的な予算確保は容易ではなく、国への強い要望が必要
【2. 学校と地域をつなぐコーディネーターの配置】◎ 受け皿づくり・交渉・調整を担う専門職の整備
◎ 部活動指導員制度、人材バンクの拡充
◎ マイナースポーツや文化部への対応強化
【3. セーフティマネジメントの整備】◎ 事故時の責任の所在の明確化
◎ 学校施設の利用ルール整備
◎ 保険制度

こどもの3年間は大人の都合で削ってはいけない

部活動の地域移行は、こどもたちの選択肢や機会を奪わないことが最優先 です。
地域クラブの負担増や家庭負担の増大によって、「好きなことを続けられない」「やりたい部活がなくなる」 そんなことがあっては絶対になりません。
学校、地域、行政が一丸となって課題と向き合い、現場の声を踏まえながら、丁寧に制度設計を進めていく必要があります。

私は議会で引き続き議論を行い、国の示した枠組みにとどまらず、あらゆる可能性を検討し、こどもたちの機会を守る政策を実現していきます。

神奈川県議会議員:大村悠

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