令和6年

令和6年第1回定例会予算委員会【県立スポーツ施設】

会議日:令和6年3月15日【 一般質議 】答弁要旨
令和6年予算委員会
「県立スポーツ施設について」

大村悠

次に、県立スポーツ施設に係る取組についてお伺いします。

本県は八つの県立スポーツ施設を有しており、中でも藤沢市善行の県立スポーツセンターは、令和2年度に県のスポーツ推進拠点としてリニューアルオープンをしました。

一方で、多くのグラウンドや体育館、宿泊施設などを有していることから、これらの施設を維持運営するためには、多額なコストがかかり、いわゆるコストパフォーマンスという点からすると厳しいと認識をしています。
そのため、今後もスポーツセンターが活動を続けていくためには、公共施設として利用してもらうことはもちろんですけれども、同時に施設から収益や稼働率などの面からもスポーツセンターの価値を高める努力をしていくことも重要ではないかと考えております。

そこで、そうした視点から、スポーツセンターの運営を中心に、県立スポーツ施設に係る取組についてお伺いしたいと思います。
まず令和6年度の当初予算案、スポーツセンターの維持運営に係る予算はどれぐらい計上しているのか確認をしたいと思います。

矢島スポーツ課長

スポーツセンターの維持運営に係る経費ですが、幾つかございます。

まず、県が支払います光熱水費や芝生の管理などのため、スポーツセンター維持運営費として約2億4,000万円、また運営事業を行っております神奈川スポーツコミュニケーションズ株式会社が施設の点検や補修、受付などの管理業務を行うためのスポーツセンター特定事業費として約3億円、それから敷地内に整備されておりますエレベーターの維持管理を行うためにスポーツセンター設備整備費負担金として約200万円を計上しており、合わせますと約5億5,000万円となっております。

大村悠

次に、収入について確認します。スポーツセンターは施設使用料を利用者から頂いている施設となっていますけれども、県への収入は令和6年度予算案ではどの程度見込んでいるのかお伺いします。

矢島スポーツ課長

令和6年度予算案では、施設使用料としての収入は約1億3,000万円を見込んでいます。そのほかに、土地や建物の貸付収入や水道光熱費の立替収入等を約5,000万円見込んでおり、収入の見込額は総額で約1億8,000万円となっております。

大村悠

支出と収入ということで、収入について確認させてもらいましたけれども、収支を考えたときに、スポーツセンター全体としての収益はどのぐらいになるのかお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

維持運営に係る経費が、今御答弁いたしましたけれども、5億5,000万円、また収入見込みが約1億8,000万円、差額となります約3億7,000万円が支出が超過している状態にございます。

大村悠

参考までにお伺いしたいんですけれども、令和2年度のリニューアル前の収益はどの程度だったのか、把握していましたらお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

スポーツセンターがリニューアル工事に入る直前の年度で申し上げますと、平成27年度ですが、使用料収入は約2,600万円でございました。また、維持運営に係る経費でございますけれども、同じく平成27年度の実績ですと、維持運営費が約1億2,000万円となっておりました。したがいまして、差引きしますと約9,000万円の支出が超過する状態でありました。

大村悠

リニューアル前が9,000万の赤字で、現在、来年度の見込みが3億7,000万の赤字ということで今御答弁をいただきました。公共施設なので、こういったスポーツの機会を提供するということで、こういった数字になってしまうのは一定の理解はするんですけれども、やはり行政として守っていくためには、こういったコストについては随時注視していかなければならないと認識をしております。
そうした中で、スポーツセンターの使用料は県の収入にもなることから、今後も施設を安定的に運営していくためには、もっと収益を増やして支出との差を縮小していく取組も重要ではないかと考えていますけれども、どう考えているのかお伺いします。

矢島スポーツ課長

県民利用施設の料金でございますけれども、その料金設定の基本的な考え方といたしましては、受益者負担の原則に基づいて、その施設の建設にかかった工事費ですとか維持運営に必要な費用を踏まえて設定するのが基本でございます。

その一方で、こうした施設は公の施設でございますので、住民の福祉を増進するという目的を持ちまして、その利用に供するための施設であるという考え方がございます。そのために、施設の運営のために収入の確保は重要な要素ではございますが、あまりに高額な料金設定となりますと、施設の利用者の減少をもたらすというおそれもございますので、好ましくはないものと考えてございます。
そこで、スポーツセンターの場合でございますけれども、リニューアル後の使用料につきましては、工事費や施設の維持運営コストをそのまま全て料金に転嫁してしまいますと非常に高額な利用料金となってしまうこととなりますことから、ただいま申し上げたこうした二つの考え方を総合的に勘案しまして、既存施設の使用料はそれ以前の約1.5倍の水準とすることといたしました。
したがいまして、これ以上使用料の水準を上げて収入を確保することは難しいと考えてございますけれども、私どもとしましては、利用者の増加を図ることでさらなる収入の確保につなげてまいりたいと考えております。

大村悠

利用者の増加を図っていくということで今御答弁をいただきました。

そういう中で、公共施設なので、受益者負担も限界があるということは先ほども申しましたけれども、理解をしています。
そういった中で、受益者負担として収入をつくっていくこともそうなんですけれども、収入源としてはそれだけではないと考えております。例えばネーミングライツだとか、クラウドファンディングだとか、協賛だとか、寄附だとか、様々な手法も考えられると思うんですけれども、そういった収入源を増やしていく、そういった考えについてどう考えているのかお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

スポーツセンターのリニューアル後は、ただいま申し上げましたけれども、使用料を体育センター時代の1.5倍としたことに加えまして、駐車場も有料化するなど、収入を確保してまいりました。
しかしながら、現在も支出が収入を大きく上回っているという状態であることを考えますと、今後も様々な手法を検討し、収入を確保する努力をしていく必要があると思います。そこで、今後は、例えばですけれども、ネーミングライツの導入でございますとか、また寄附の受入れでございますとか、そういったものにつきまして、ネーミングライツパートナーや寄附した方のメリットなども考慮し、研究をしていきたいと考えてございます。

大村悠

ぜひとも前向きに検討してもらいたいと思います。

民間施設と公共施設の目的、意義というものは違うということは理解をしています。そうした中で、こういった施設を守っていくためにも、やはりそういった収入源を考えるということは常に検討していただき、前向きに取り組んでいただくことを要望したいと思います。
次に、先ほども利用者を増やしていくということで御答弁いただきましたけれども、このスポーツセンターの利用実績について、直近の年間利用者数は何人ぐらいなのかお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

直近の令和4年度の利用者でございますけれども、約30万人でございました。

大村悠

参考までにお伺いしたいんですけれども、リニューアル前の利用者数はどのぐらいだったのかお伺いします。

矢島スポーツ課長

こちらも改修前で全面的な利用が可能だった最後の年で御答弁申し上げますけれども、平成27年度の利用者数は約34万人でございました。

大村悠

減少しているということで今確認をさせてもらいました。そういった中で、利用者数を増やしていく、漠然と数字を見るだけではなくて、稼働率が弱いところを重点的に取り組んでいくことが重要だと考えていますけれども、そうした中で現在の稼働率はどうなっているのか、また平日と土日・祝日等、稼働率の違いがあるのか、その状況について確認をしたいと思います。

矢島スポーツ課長

手元の情報で申し上げます。

稼働率につきましては施設ごとに異なる部分がございますので、個別に申し上げますと、例えばスポーツアリーナ1ですとか、スポーツアリーナ2にございますメインフロアと呼ばれています体育館の部分、また陸上競技場とか球技場、こうしたものは土日、平日もいずれも100%近い稼働率を持っております。
その一方で、アリーナ2の中に設置されております専門競技施設です。具体的にはパラスポーツやボルダリングに利用できます多目的フロアの位置ですとか、ボクシングフロア、またウエートリフティングフロア、こうした施設はやはり稼働率が低い状況でございまして、これらの施設は土日・祝日と平日を比べますと、土日・祝日に比べて平日の部分は大体利用率が半分以下となってしまっている状況ございます。
なお、専門競技で今申し上げたボクシング、フェンシング、ウエートリフティング場ですけれども、こちらを通常利用する場合には、安全確保のために、競技の専門知識ですとか経験を有する指導員が対応しなければならないと、そういった条件がございますので、そのためにこうしたフロアは利用が少ないといった事情も一面ございます。

大村悠

メインフロアはほぼ100%ということで、稼働率を高めるということで考えたら、ボクシングだとかウエートリフティング、ボルダリングだとか、そういった専門的なところであり、そういった中で稼働率を高めるということの中では課題が見えていると認識をしているんですけれども、そういった中でそういった施設の稼働率を高めていくためにもどのように取り組んでいくのかお伺いします。

矢島スポーツ課長

これまでパンフレットの配布ですとかホームページなどのPRを行うとともに、県の事業やPFI事業者によるスポーツ教室などを行いまして施設の利用者を増やし、スポーツセンターの認知度の向上や利用促進を図ってまいりました。
また、令和4年度には、徹底したバリアフリー化や、県内の施設として珍しい専門競技フロアなどを兼ね備えていることなどスポーツセンターの特色を紹介するPR動画、こうしたものも作成いたしまして県のホームページに掲載するとともに、県のスポーツ協会、また障害者スポーツ協会、学校、レクリエーション協会などの団体にそうした情報を配布もいたしております。

今後もPFI事業者による自主事業の実施のほか、各種の会議、イベント等で施設の利用を呼びかけ、一層の利用促進に努めてまいります。

大村悠

これまで取り組んできたものの、なかなか数字が上がっていないという現状だと思いますので、例えば団体にピンポイントにプッシュをするだとか、取組を強化、効率化することによってこの稼働率を高めていただくように対応してもらいたいと思います。

次に、この稼働率を高めていくためには、実際にどういった方々が利用しているかということを把握することも重要だと考えておりますけれども、利用者に対して実績のアンケートだとか、そういった調査をしているのかお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

スポーツセンターにおきましては、現在利用者全員に対する個別のアンケートは実施しておりませんが、スポーツセンターの利用者の多くは団体でございますことから、施設の利用の申込みをされる際に、申し込む団体名や利用目的を記載していただきます。そのために、どのような団体がどのような目的で利用されるかということは、その傾向を把握することはその中で可能でございます。

また、あわせまして受付窓口にサービスの向上のためにアンケート用紙というものも置いてございますので、こちらのほうで、個別の御意見でございますけれども、スポーツセンターの運営の参考とさせていただいております。

大村悠

傾向を把握しているということなんですけれども、実際に申込みをするときには団体名だとか、人数だとか、そういった漠然とした情報しかないと思います。
そういった中で、年齢層だとか、そういった団体がどういった団体なのか、活動の頻度だとか、そういったところも把握することも重要だと考えていますけれども、そういったより充実した情報を取るべきという考えの下で、県としてどう考えているのかお伺いしたいと思います。

矢島スポーツ課長

今後スポーツセンターを運営していく中でそうした情報も必要な部分もあると思いますので、今後どういった形でそういった情報を集めることができるか、それもこれから考えてまいりたいと思います。

大村悠

ぜひとも検討してもらいたいと思います。申込みの際なのか、実際に利用してもらってからなのか、どちらでも情報は取れると思いますので、しっかりと充実を図ってもらうことを要望したいと思います。

次に、スポーツセンターの稼働率を向上させるためには、学校の部活動などを利用してもらうことも効果的だと考えていますけれども、部活動のためにスポーツセンターを利用することが可能なのか、まず確認をしたいと思います。

矢島スポーツ課長

スポーツセンターは、学校の部活動などで利用することは可能です。実際に利用実績もございます。
なお、スポーツセンターの主な目的の一つに、青少年のスポーツを支援するということがございますので、学校の部活動が施設を利用する場合には、宿泊施設及び駐車場を除く施設は使用料を2分の1に減額する仕組みでございます。

大村悠

昨今、部活動の地域移行だとか、そういった場所の問題、運営の問題が大変課題となっていますけれども、そうした中で場所を確保するということで、このスポーツセンターの活用も有効だと考えております。
そういう中で、スポーツセンターの現状について確認をしてまいりましたけれども、学校教育の観点から何点か教育委員会に確認をしたいと思います。
平日のグラウンドや体育館、ウエートトレーニング等の施設について、教育指導の場面ではどのような活用があるのかお伺いします。

磯貝保健体育課長

県立スポーツセンターの各施設は、県立学校でも陸上競技大会などの学校行事、部活動、合宿、各種大会の会場など、様々な場面で活用しています。
また、近隣の学校で校舎の耐震改修工事などが行われ、グラウンドに仮設校舎が建てられ体育の授業ができなくなった際に授業で活用することもありました。さらに、体育の教員研修でも活用しております。

大村悠

利用実績については今確認をさせてもらいましたけれども、今後学校教育活動でのスポーツセンターの活用拡大についてどのように考えているのかお伺いします。

磯貝保健体育課長

オリンピックやパラリンピックの事前キャンプ地ともなった設備の整ったスポーツセンターの施設で活動できること自体が生徒にとって大変ありがたいことです。

県教育委員会としましても、学校教育活動での様々な場面で、スポーツセンターの利用の周知について協力していきたいと考えております。

大村悠

ぜひとも教育委員会としても周知に取り組んでもらいたいと思います。

実際に地元の金沢総合高校では、建て替え工事ということでウエートリフティング部の活動場所がなくなってしまうということで、相談ももらいました。これは金沢区での問題ですけれども、各地八つのスポーツ施設があって、そういったところの地域連携につきましては、子供たちの機会を守っていくという観点からもしっかりと連携をしてもらいたいと思います。

そこで、最後になりますけれども、ここまでスポーツセンターに係る取組について伺ってきましたが、稼働率の向上は、本県スポーツ行政の基盤である県立スポーツ施設全体の問題だと認識をしています。

そこで、県立スポーツ施設の運営をよりよいものとし、スポーツのさらなる振興を図っていくことについてどのように考えているのか、スポーツ局長にお伺いしたいと思います。

三枝スポーツ局長

県では、スポーツセンターをはじめ、武道館や宮ヶ瀬湖カヌー場、山岳スポーツセンターなど、様々な特徴ある施設を運営し、週末を中心に多くの方に御利用いただいています。

こうした施設の稼働率を上げるためには、より多くの県民の皆様がスポーツを楽しんでいただくことにつながると同時に施設の安定的な運営にも寄与いたしますので、スポーツ振興の観点から非常に大切なことだと考えています。そのためには、まずは施設の安全が確保されていることが不可欠です。また同時に、設備などが県民の皆様にとって利用しやすい、こういうことも重要です。

そこで、令和6年度当初予算案では、スポーツセンターのアリーナ1の老朽化対策工事、そして球技場1の天然芝改修工事など、施設の改善と長寿命化を図る工事を提案しているところでございます。
また、こうした施設が比較的低廉な金額で利用可能であることを県民の皆様に周知して、県立スポーツ施設への理解促進と利用者の拡大を図るため、引き続き広報を展開していきたいと考えています。

このようにして、今後もしっかりと県立スポーツ施設の維持運営を行い、将来にわたって県民の皆様が安心して、そして快適にスポーツ施設を利用していただけるよう取り組んでまいります。

大村悠

局長から御答弁をいただきました。公共の施設として県民の皆様の場所、機会を守っていくことは重要なことだと考えております。

今稼働率について、やり取りをさせてもらいましたけれども、やはりまず実態をしっかりと調査をして、その中で有効的な策を検討していく、教育委員会等との連携もそうですし、周知もそうですけれども、しっかりと有効的な策を検討し、それを実証実験、効果検証をしながら取り組んでいただくことを要望したいと思います。

スポーツは、日本的な歴史から教育的な視点が強く、稼ぐということ、産業として考えることに対して賛否両論の意見が出ているということは承知をしています。しかし、スポーツを振興していくためにはコストはつきもので、スポーツの魅力を生かして収益を出し、スポーツ産業、そして子供たちに還元していくことが重要なことだと考えております。

そうした中で、スポーツ推進拠点のスポーツセンターについて今日議論をさせてもらいましたけれども、いわゆるコストがかかるコストセンターという考え方から、収益を少しでも出していくプロフィットセンターという考え方も加えて、受益者負担だけではなく、ネーミングライツやクラウドファンディングなど、収入源を増やす検討を進めていくことを要望したいと思います。

今後、維持費が積み重なると、県の予算を増やすか、利用者による受益者負担を多くしなければならないという現実も待っていますので、ぜひとも前向きな検討を要望したいと思います。

また、このスポーツができる場所という観点では、私の地元の金沢区では、野球のグラウンドに給食センターができるということで、この機会も縮小してしまうという方針が示されています。そういった中で、地元の方々からも多くの連絡をいただいて、このスポーツができる場所が今後もっと減ってしまうのではないかという懸念の声もいただいています。また、野球チーム、サッカーチーム、様々な少年少女のチームからも、このスポーツができる場所ということの確保の要望を多くいただいているところでございます。

県民がスポーツのできる環境を確保していくために、県立公園の利活用などもそうだと思いますし、民間事業者と連携をして、スポーツ政策、スポーツの場所、環境づくりに取り組んでいただくことを要望して、私の質問を終わります。

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