令和5年

令和5年第2回定例会【環境農政常任委員会】(水素社会実現ロードマップの改定)

会議日:令和5年7月6日【 環境農政常任委員会 】答弁要旨

水素社会実現ロードマップの改定( 脱炭素ライフスタイル)

大村悠

神奈川の水素社会実現ロードマップの改定についてお伺いをしたいと思います。

この質問につきましては、我が会派の代表質問でも取り上げさせていただきましたけれども、その深掘りということで確認させていただきます。

まず、かながわ次世代エネルギーシステム普及推進協議会において改定をするということなんですけれども、策定主体の協議会の現行のロードマップの成り立ちについて確認をしたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

このロードマップの策定主体でありますかながわ次世代エネルギーシステム普及推進協議会、これにつきましては、平成25年8月に設置されましたかながわ次世代自動車普及推進協議会、これが平成29年7月に名称変更したものでございます。

設置当時は、次世代自動車の中でも主に燃料電池自動車、あと電気自動車の普及を目的としてまいりましたが、このFCVとEV、こちらにつきましては共に自動車としての機能だけではなく、新たなエネルギーシステムの中で重要な役割を果たすものとして期待されるようになりましたことから、協議会の目的が自動車のみではないことが分かるよう名称を変更したものでございます。

構成員につきましてですが、現在の構成員は、国、経済産業省ですが、あと県内の3政令市、横浜、川崎、相模原、あと自動車メーカー、電池メーカー、水素・電気供給事業者、あと水素関連事業者、あと学識経験者など、本県を含めまして35者となってございます。

現行ロードマップについて成り立ちですが、この現行ロードマップは、国が平成26年に策定しました水素・燃料電池戦略ロードマップと連携した取組を推進していくために、今後の目標や取組の方向性を示す地域版のロードマップの策定に向けまして、この協議会において検討して、平成27年3月に策定したものでございます。

大村悠

協議会の組織構成についても今答弁いただきましたが、その中で3政令市、また国の経産省や電池だとか自動車業者ということで答弁をいただきました。
その中で県の立ち位置、役割はどうなっているか伺いたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

県の立ち位置ですが、メンバーももちろん1人ということと、今回この場でいえば全体の事務局、あるいは座長を務めておりますので、そういう立ち位置でございます。
また、広域自治体として、広く3政令市以外の圏域全体を見た形での立ち位置でこの協議会の中でコメント等をする、こんなような考えでございます。

大村悠

広域的な立場ということが重要で、各地域特性が違う中で、3政令市も入っていることなんですけれども、県全体でそういった水素社会を実現していくという中で、広い立場でこれからも力を発揮してもらいたいと思います。
次ですけれども、現行のロードマップの概要について確認させてください。

脱炭素ライフスタイル担当課長

現行ロードマップは、水素社会の実現を先導します燃料電池自動車、これですとか、あと既に実用段階にあります家庭用燃料電池、これエネファームとかですが、これの普及促進など、初期需要喚起に重点を置いた内容となっております。
数値目標もこれらに関連したものを定めてございます。
また、この目標達成に向けまして、取組の方向性というものを民間と行政それぞれの役割、こういうものも併せて記載してございます。
例えば、民間の役割といたしましては、FCVの販売価格の低下に向けた技術開発の推進ですとか、水素ステーション整備、運営コストの低減に向けた技術開発の推進、このようなことが方向性が出ておりまして、行政の役割といたしましては、FCVや家庭用燃料電池の導入促進に向けた促進を図る取組、こういうことについての方向性、こういうものを示しているものでございます。

大村悠

今、民間と行政の役割ということで御答弁いただきましたけれども、神奈川県ではEVなど、促進に向けて事業を設計しているということは承知していますが、3政令市についてもそれぞれそういった事業を構築して促進を図っているという認識でよろしいでしょうか。

脱炭素ライフスタイル担当課長

政令市におかれましては、横浜、川崎等は臨海部を所管しているところでございますので、産業用の水素、そういうところの供給体制、そういうところも視野に入れた形で検討しているものと、このように承知してございます。

大村悠

3政令市との調整、連携は非常に大事だと思いますので、座長も務めているということなので、行政としても先頭を走ってもらいたいと思います。
先ほどの答弁でもいただきましたが、目標を設定している中で、その目標と目標に対する実績について確認をしたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

現行ロードマップにおけます数値目標、これにつきましては、燃料電池自動車の累計台数、あと水素ステーションの累計整備箇所数、あと家庭用燃料電池の累計台数、この三つを定めてございます。
一つ目の燃料電池自動車の累計台数につきましては、2020年度の目標5,000台に対しまして、実績は285台となっています。二つ目の水素ステーションの累計整備箇所数につきましては移動式水素ステーションも含むものとなっておりまして、2020年度の目標25か所に対しまして、実績は15か所となってございます。
三つ目の家庭用燃料電池の累計台数につきましては、2020年度の目標10万3,000台に対しまして、実績は4万5,183台でございました。

渡辺紀之委員

今水素ステーションの話が出ましたよね。15か所ということで、僕は前回行ったとき、四、五年前5か所だったような気がしたんですけれども、15か所というようなあれなんですけれども、実は伊勢原にもあるんですけれども、県西部のところで代表的に置いてくれたと思うんですが、僕の近所なので、月と木曜日に来るんですよ、水素ステーションへ。
ほとんどいないね。
入れているのを見たことない、ミライの。
だから、場所をもうちょっと変えながら、あれ移動の車トラック2台でやっているんですけれども、あそこでずっとままでいいのか、もう少し県西部でも秦野のほうに持っていってもいいし、平塚のほうへ持っていってもいいし、ちょっと移動してあげてもいい。移動というぐらいだから、そこに固定化する必要があるのかなと。
エネオスがやっているんですけれども、外は。そのあたりの連携というかな、関係性というのが幾らかあるのかなと思って、ちょっと余計なお世話なんだけれども、そういう考え方があるのかどうか聞いてみたいんですけれども。

脱炭素ライフスタイル担当課長

今、委員のほうから伊勢原のほうのお話出ましたが、現在水素ステーションが設置されているのは横浜市と川崎と相模原市と、あと綾瀬市と海老名市と伊勢原市となってございます。
設置に当たりましてなんですが、水素ステーションの整備に当たりましては多額の費用が必要であるということと、それを回収できるだけの利用が見込まれる箇所であると、そういうことが経営上必要なことだと思います。
こうした課題がある中で、移動式を含めまして、どうしたら水素ステーションの箇所数を拡大することができるのかにつきましては、先ほど言いました協議会において、民間事業者とその方法について意見交換しながら方策を検討していきたいと、このように考えてございます。

渡辺紀之委員

もう一つは、そのミライというクルマが水素の車だったと思うんですけれども、県庁でも使っていると思うんですが、当時は2年かかると、 が。今はどうなっているんだか分からないですけれども、そういうメーカーとの連携というか、今度日産も我が県も本社があるとなると、そういうところとの調整も、県としてどういうふうなお付き合いをしているのかというのは、水素車を普及させるためのロードマップというか、そういうのもお考えなのかどうか伺いたいんですけれども、

脱炭素ライフスタイル担当課長

今トヨタのミライのお話も出ましたが、今現況、水素乗用車につきましてはミライ1車種しか出ていない状況でございます。

なかなかこれも販売というか、それが厳しいという状況というお話でございましたが、先ほどの協議会の中でもトヨタ自動車構成員に入ってございますので、そういった状況も踏まえながら、その部分につきましても意見交換をしていきたいと思ってございます。

大村悠

水素ステーションの設置に際しては、その利用の見込み、そういったことも考慮して設置をしているということなんですけれども、そういった中で、やはり渡辺委員からもございましたが、なかなか利用されていない地域については、その設置目標ということは理解をしますが、やはり利用してもらえなければ持続可能じゃないというか、なかなか管理、保ち続けるのも難しいと思います。
その各水素ステーションの利用状況は県としては把握しているんでしょうか。

脱炭素ライフスタイル担当課長

今詳しい情報は持っていませんが、先ほど委員お話がありましたように、なかなか利用状況は芳しくない、このようなことは承知しております。

大村悠

この水素ステーションの設置数というのは目標であって目的ではないと思うので、脱炭素社会を実現するという、水素社会を実現するという中での一つの取組だと思いますので、そういった目標達成に向けた取組も大事なんですけれども、実効性や、社会情勢に合わせて、そういったニーズも併せた中で進めていくことを要望させてもらいたいと思います。水素ステーションの数もそうですけれども、自動車、そして家庭用電池なども、様々その目標に対してなかなか実績が難しいという状況を県として原因をどう分析しているか伺いたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

まず、燃料電池自動車、FCVの台数についてでございますが、先ほど申しました現在国内メーカーではトヨタ自動車のミライ、この1車種しか販売されておりません。その車両価格も税込みで700万円を超えるというところで、非常に高価な車でございます。よって、購買する層が限定的である、これが一つの原因であると考えております。
次に、水素ステーションでございますが、1か所当たりの整備費に先ほどお金がかかるとお話ししましたが、固定式であれば4億円を超えることに加えまして、先ほど申しましたが、FCVの普及につきましてもなかなか伸びてこないというところで事業の採算が取れないということも要因だと考えてございます。
次に、家庭用燃料電池ですが、販売当初、これは2009年なんですけれども、価格が大体300万円を超えてございましたが、現在は90万円ほどと承知しております。
ただ、購入するにはまだまだ高価な製品ということで、それもちょっと原因なのかなと思ってございます。

大村悠

このロードマップが策定されたのが平成27年ということなんでが、当初はそ目標は多分達成できる設定をされた中で、なかなか電気自動車も水素自動車も難しいんだと思います。しかし、8年ぐらいたって今こういった状況なんですけれども、そういった中で、正直なところその目標というのが、社会情勢の上でのキャパシティーやニーズに対して、その目標の数値に対して県としてどう考えているか伺いたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

現行ロードマップを策定し目標等を設定した当時、恐らくなんですけれども、FCVや家庭用燃料電池、この普及というのがもっと進んで、それに伴って販売価格も低下するだろうという、そういう見込みがあってなったものだと思います。
ただ、実際につきましてはなかなか市場投入された車も少ないという状況、それは市場の状況なんですが、それに伴いまして価格も下がらなかったということで、ちょっとそこは見込みというか、社会情勢が読み切れなかったという部分は否めないと思います。

大村悠

神奈川でもこういった太陽光、県有施設の太陽光設置だとか、そういった目標の中で、なかなかそのニーズとキャパシティーと実際のところが、なかなかそのギャップが埋まらないということは理解をしているんですけれども、また当初8年前はそういった目標を立てて設定したことは理解をするんですけれども、本当に電気自動車に関しては、5,000台が目標のうち285台って、本当にもう数字だけ見たら本当に厳しい状況というのは見て分かります。
そういった適切な目標設定、最終的なゴールを見据えているのは理解するんですけれども、達成に向けて、現実味をもってこの目標設定についても今後議論をしていただきたいと思います。
県の立場でそういった審議の場でしっかりと発言をする中で、県全体でそういった水素社会の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
今回ロードマップを改定するということなんですけれども、どういった方向性で検討していこうと考えているのか伺いたいと思います。

脱炭素ライフスタイル担当課長

水素社会の実現には、神奈川県だけではなく国、あと横浜市、川崎市を初めとする市町村、そしてあと民間事業者、特に京浜臨海部で操業する大規模事業者との連携による取組というものは不可欠だと考えてございます。
今回のロードマップの改定に当たりましては、このような協議会の構成員である皆様としっかりと意見交換をしていきたいと考えてございます。
また、先ほど目標のお話ありましたが、ちょっと付け加えますと、国のそういういろいろな基準を基に算定したところではあるのですが、委員の御指摘のとおり、十分精査いたしましてさらなる需要の拡大、あと京浜臨海部だけでなく圏域全体へ水素の供給体制、これが広がっていくというものを構築していくというものに加えまして、あと再生可能エネルギーにより製造いたしますグリーン水素、これらの普及等も含めまして、中・長期的な視点で取組の方向性をしっかりとお示しできたら、このように考えてございます。

大村悠

行政の役割と、そして民間事業者に力を尽くしていただく部分と役割がはっきりしていると思うんですけれども、さらに行政としては、やはり社会全体の機運醸成ということを行政としての役割だと考えています。
そうした中で、8年前の見込みとなかなか厳しい状況というのは理解をするんですけれども、県としてもそういった民間ではなかなかできない役割の部分を明確にして、これからもこの協議会での立場をしっかりと力を発揮していただくことを要望してこの質問を終わります。

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