会議日:令和5年12月13日【 環境農政常任委員会 】答弁要旨
遊漁船の安全設備の設置義務化(水産振興)
遊漁船の安全設備の設置義務化についてです。
遊漁船業は、利用者の経営安定に寄与するだけでなく、県民のレジャーとして、また地域経済への波及効果もあることから、本県の漁業を推進する上で重要なことだと考えております。
そうした中で、先日、遊漁船業を行う漁業者から、燃油などの価格が高騰し、経営規模も零細なことから、営業に当たって苦心しているが、今般、旅客船などを対象とした船の安全基準が強化され、救命いかだなどの新たな安全設備を搭載する必要があるということですけれども、情報が少なく、現場が混乱しているというお話を聞いています。
そこで、何点かお伺いをしたいと思います。
まず、安全設備の基準が強化されるという、この制度どういった内容なのかまず確認をしたいと思います。
安全設備に関する新たな制度の内容ですが、主に三つの設備を装備することが義務化されます。
一つ目は法定無線設備の設置、二つ目は、遭難などを起こした際、救難信号や船などの位置を発信する非常用位置等発信装置の設置、そして三つ目が、旅客が直接海水に触れないなどの構造等である改良型の救命いかだ等の導入でございます。
この義務化については、国交省が現在、関係する省令等の改正手続を進めており、本年12月下旬に交付される予定で、令和6年4月1日施行と聞いております。
今回、遊漁船等への安全設備の導入が義務化されることになった背景についても確認したいと思います。
令和4年4月23日に発生した北海道の知床遊覧船事故を受け、国交省が有識者による知床遊覧船事故対策検討委員会を立ち上げ、対策を検討し、提言をまとめております。
提言の内容は、事業者の安全管理体制の強化、船員の資質の向上、そして船舶の安全基準の強化などを挙げております。
これらのうち、船舶の安全基準の強化につきましては、国交省が省令等を改正し、旅客船等へのいかだ等の搭載義務化を行うということになったというものでございます。
今回の制度の導入によって、本県の遊漁船に対してどのように適用されるのか、お伺いしたいと思います。
新たな制度の対象となる船舶は、主に旅客を運送するために使用する船舶で、海上運送法で13人以上の旅客定員を有する旅客船や、海上タクシーなどの旅客船以外の事業船、そして遊漁船も対象となっています。
施行日は、先ほど答弁したとおり6年4月1日ですが、実際に設備の設置の義務が適用されるのは、旅客船は同じく令和6年4月1日以降の法定検査等の日となりまして、遊漁船等は令和7年4月1日以降の法定検査等の日になる予定でございます。
また、適用条件が、船の大きさ、それから定員、航行区域、さらにその航行する海の水温、これによって異なりまして、例外もありますことから、船舶ごとに判断する必要があります。
しかし、本県の遊漁船の場合には、多くは適用対象になるというふうに考えられます。
ただいまの御答弁の中の遊漁船も適用となり、その時期につきましては令和7年の4月1日から適用されるということなんですけれども、本県での遊漁船はどのくらいの隻数があるのかお伺いしたいと思います。
本県で遊漁船業を営んでいるのは、本年9月末現在で465業者、788隻となっております。
実際にこの制度の改正が発表されて、地元の遊漁船業者からどういった反応があったのかお伺いしたいと思います。
国交省や水産庁から新たな制度に関する正式な文書や情報が少ない中、救命いかだなどの設備導入を促す国交省の補助金の案内、これが県や漁協を通さずに遊漁船業者に直接行われたことにより、遊漁船業者が今回の新たな設備導入を知ったということでございます。そのため、今回の義務化につきましては、話が唐突だ、制度が分かりにくい、導入するには新しい新たな資金が必要になってしまう、自分の船が補助金の対象になるのか、そもそも船に新たな設備を設置するスペースがないといった声が寄せられました。
そういったことも踏まえまして、県として今回どのような課題を認識しているのかお伺いしたいと思います。
遊漁船業者に対しまして、今回この新たな制度、これに関する情報がほとんどなかったということから、まず制度の内容がよく分からない中、様々な情報、それから憶測が遊漁船業者に伝わり、混乱が生じているというふうに認識しております。
そのため、正しい情報を伝え、制度に対する理解醸成がまず必要というふうに考えております。
また、救命いかだ等の設備導入には数十万円から100万円以上かかるというふうに聞いており、資金面でも遊漁船業者には大きな負担になるというふうに認識しております。
説明不足なところと、資金面ということで今御答弁いただきましたけれども、こういった課題に対して国での対応はどうなっているのかお伺いします。
まず、制度に対する理解を調整するために、国は本年11月に都道府県に対し制度等に関する説明会を開催しました。また、資金の負担については、国交省が設備導入に関し補助制度を創設し、早期導入者への支援を行っており、令和6年1月31日まで申請を受け付けています。
ただし、支援の対象は旅客船や旅客船と遊漁船を兼業する船に限られており、遊漁船業のみを行う船は対象外となっております。
そこで、水産庁が遊漁船に対する支援として令和6年度の予算措置を検討しているというふうに聞いております。
その予算についても今要望中ということで御答弁いただきました。
もう一つの課題であるその説明不足だとか情報が少ないだとか、またシステム自体がそもそも明確じゃないということで課題として認識をされていることだったんですけれども、そういう中で遊漁船業の皆様もかなり混乱しているということを聞いています。
そうした中で、県としてこの遊漁船業者の皆さんに対して対応してきたことについてお伺いしたいと思います。
11月に国交省及び水産庁からの都道府県向けの説明会が行われ、制度の概要というものが判明したことから、その概要について沿海の漁協宛てに周知をしたところでございます。
また、漁業協同組合等の関係者が集まる機会、こちらを捉えまして説明会を実施しております。
その説明会実施しているということで、引き続きそういった対応をしてもらいたいと思います。
また、県に対して、この制度の内容だとか、補助メニューだとか、そういったものの問合せはどのぐらい来ているのか把握していたらお伺いしたいのと、どういった相談が来ているのかも併せて伺いたいと思います。
県のほうには、こういった説明会の場とか機会があるとき現場の漁協さん等に行ったり、また会議の場等で、そもそもまず補助金というのは国交省が募集しているということで、その対象になるのかとか、遊漁船が適用の対象になるのか、どんな設備が必要なのか、そういったところ問合せ等が来ております。
本当に、今後さらにそういった声が増えてくる可能性もございますし、また国のほうでも今予算要望しているということなので、そういったことが固まってきたら県としてもしっかりとそういった事業者の皆様に対応してもらいたいと思います。
お話を伺ってきましたけれども、そもそもの背景として生命を守るということでこういった制度改革だと思うんですけれども、そういった中でも、やはり事業者の皆様の経営をしっかりと確保していくためには様々な課題も抱えているということも認識をしました。
そうした中で、今後県として遊漁船業者や国に対してどのように対応していくのかお伺いしたいと思います。
今後も、国交省や水産庁からの情報や正式な文書等が届きましたら、関係漁協や遊漁船団体に正確な情報が伝わるよう周知してまいりたいと考えております。
また、水産庁や国交省に対して、遊漁船業者への説明会の開催等も要望してまいります。さらに、遊漁船業者に対する設備導入への補助につきましては充実するよう、併せて国に伝えていきたいと考えております。
ぜひとも遊漁船業者の皆様の立場になって県としても対応してもらいたいと思います。
今、国に対して説明会などを求めていくということだったんですけれども、やはり県としてもそうやって県に寄せられた相談だとか、そういったことでなかなか答えられない部分も現時点ではあるということは理解しますけれども、そういったことをしっかりと国に対しても声を出して発信することで、そういった対応の強化についても求めたいと思います。
また、資金面では国のほうで予算要望をしているということなんですけれども、そういった国の対応もそうですけれども、県としてもそういった事業者を支援する、独自に補助するということも考えの一つとして検討していただくことを要望して質問を終わります。